エンジン溶接機の特徴・使い方を解説

エンジン溶接機の特徴・使い方を解説

*今回の悩み人*

『エンジン溶接機とかいう機械って知ってますか?電気がなくても使用できるらしいのですが詳しいことが分からなくて困ってました。特徴や使い方を詳しく教えてくれませんかね。』

今回の記事を読むとこんなことが分かります。

  • エンジン溶接機とは?基本的な基礎知識や特徴について
  • エンジン溶接機の具体的な使用法の解説

電気を必要としない溶接機をご存知でしょうか。エンジンの動力を利用することでコンセントがない場所でも溶接機を使用することができます。

場所を選ばす使用できるなんてとても便利そうですが、一体どのように使用するのでしょうか。

今回はエンジン溶接機についての基礎知識と、具体的な使用方法を詳しく解説していきます。

そもそもエンジン溶接機って何ですか?

やまびこ産業機械 新ダイワ エンジン溶接機(発電機兼用) EGW2800MI
引用:Amazon

『溶接機って金属を溶かしてくっつけたりする機械のことだよね?電源コンセントを電源とするんじゃなくてエンジンの駆動を動力として使う。。。一体どんな機械なんだろう?』

どこでも溶接ができる便利アイテム

場所を選ばすどこでも溶接作業をすることができるなんて、作業者にとっては夢のような機械ですが、そんなもの存在するのでしょうか。

エンジン溶接機は、電気ではなくガソリンを燃料としてエンジンを駆動させ、その動力で溶接を行う機械です。

つまりこの工具を使用することで屋外など、場所を選ばす溶接をすることができるようになります。

エンジン溶接機の特徴を解説!

アーク溶接

ここではエンジン溶接機の主な特徴をご紹介していきます。どんな工具なのかを理解する事で、難しい加工も簡単にこなせるようになります。

特徴①電源がない場所でも溶接ができる

エンジン溶接機の最大の特徴はどんな場所でもarc溶接が出来るという点です。これにより屋外や電源を確保できないような場所でも溶接作業が可能になりました。

??『溶接機って100Vなら40Aとか、200Vなら25Aを越えるような電源が必要になるから結構電力が必要なんだよね。大型の機械なんかをどこでも使えるようになるなら作業の幅が広がりそう!』

電源が要らないということは、あらかじめ事前の現場確認や電源確保の準備をする必要がないため、溶接作業の時間を削ることなく本来の工程に取り掛かることが出来ます。

Q、電源を増やすということは、電気会社から月額を請求される??

新たに電源を増やすということは、商用電源の手続きや届出が必要であり、同時に基本使用量を電力会社に支払う義務が生じます。

??『普段から何気なく使っているお家の電気も、契約した電力会社から許可を貰って、さらに月額料金(基本料金)を支払ってようやく使えるんだよね。』

商用電源(しょうようでんげん)とは一般的にAC電源とも呼ばれ、電力の製造と販売を生業とする電力会社から消費者に届けられる電力を電力消費者に届けるための設備一般の総称。

エンジン溶接機においては、商用電源を引くための面倒な手続きや工事が不要であるため、基本料金が不要となりトータルランニングコストが割安で使用することが出来ます。

特徴② ガソリン・ディーゼルの2タイプから選べる

ガソリン溶接機と一口に言っても実は2種類の燃料タイプがあり、どちらも使用する燃料や特徴が違いますのでしっかりと確認してください。

ここでは具体的な違いを下記の表にまとめました。

名称主な用途と特徴
ガソリンタイプディーゼルタイプと比較すると小型かつ軽量なので持ち運びに便利。(だいたい30kgほど)インバーターを搭載したタイプは様々な電気機器を使用することができる。(※1
一人で持ち運べるほど携帯性に優れており、色々な場所に持ち出す機会が多い方は断然ガソリン式がオススメ。またディーゼル式より本体価格が安くメンテナンス費用も安価なのが長所。
ディーゼルタイプガソリンタイプより静かに動作するので騒音対策をしたい場合はこちらがオススメ。また頑丈な構造で燃料タンクも大容量に設定されており、軽油を使用するのでランニングコストも安くなります。

(※1)ただし精密機器やマイコン搭載機器、コンピュータの電源としての使用は機器の故障につながるので使用を控えましょう。

??『インバーター搭載機や機器との間にインバーターを挟んだりして電流を安定させる方法もあるけど、それでも故障したっていう報告が多いから、精密機器は繋がないようにしよっと。』

ガソリンタイプの商品例

ディーゼルタイプの商品例

特徴③発電機(非常電源)としても使用できる

エンジン溶接機なので溶接しかできないのでは?と思うかも知れませんが、発電機と兼用のものが多く最大30Aの急速充電が可能です。

そのため溶接の休憩中に他の電動工具を充電したり、照明機器を使用して暗所で作業したり、また2台同時に溶接作業をすることができるタイプもあります。

また野外でのイベント時の電源確保や、災害時の電源として使用できるのでとても便利であることが伺えます。

??『日本は地震をはじめ、台風や豪雨が多い自然災害大国として世界的に有名なんだよね。この機械があればいざという時に電気を確保できるから安心かも。』

先ほどお伝えした通り、精密機器の充電や電源としての使用は故障につながりますので控えてください。

特徴④簡単にメンテナンスでき操作も分かりやすい

エンジン溶接機の操作やメンテナンスが大変そう…という声を聞きますが、簡単なものが多いので安心してください。

エンジンという名称から想像できるように、自動車のキーを回す感覚で始動・停止できるので、初めて使う方にも簡単に扱うことが出来ます。(ただし溶接には知識と経験が必要)

また操作と同じくメンテナンスも簡単に行えるよう設計されており、ワンタッチでドアを開閉できるため複雑な分解が不要なため、簡単に内部にアクセスすることが出来ます。

この手軽さがエンジン溶接機の大きなメリットと言えます。

具体的な使い方解説!

遮光溶接面

ここからはエンジン溶接機の使い方を解説していきたいと思います。

作業の前に確認すべきポイントって?

絶対に保護具を装着する

溶接を行うと強力な光源(紫外線)が発生するため、しっかりと準備をしないと電気性眼炎という失明につながる怪我のリスクが上がります。

そのため、遮光溶接面というマスクやゴーグルを必ず装着してから作業をするようにしましょう。

また、火花が飛び散り火傷をする恐れがあるので溶接用の手袋耐熱エプロンなども用意しましょう。

エンジンを始動させる

エンジンを始動する方法は機種によって微妙に違いがありますが、だいたいはセルスターターによる始動、またはリコイルスターターによる始動が基本です。

セルスターターの場合

STEP.1
ブレーカーがOFF状態であることを確認する。
STEP.2
燃料コックを開いた状態にし、スローダウンスイッチをOFFにする。
STEP.3
チョークを引いた状態でスタータースイッチを始動にするとセルモーターが起動してエンジンが始動します。
STEP.4
エンジンが始動したことを確認したらスタータースイッチから手を離し、チョークを元の位置に戻す。その後、約5分間の暖機運転をする。

リコイルスターターの場合

STEP.1
ブレーカーがOFF状態であることを確認する。
STEP.2
燃料コックを開いた状態にし、スローダウンスイッチをOFFにする。
STEP.3
チョークを引いた状態でスタータースイッチを運転にし、リコイルノブが重くなる所(圧縮点)までゆっくり引き、一度元に戻して一気に引く。
STEP.4
エンジン始動を確認したらゆっくりチョークを戻す。

エンジンを停止する

STEP.1
ブレーカーをOFF、スローダウンスイッチをONにする。
STEP.2
約3分間の冷気運転をしたのち、スタータースイッチを停止にする。
STEP.3
エンジン停止を確認後、燃料コックを閉にする。

注意点

スタータースイッチを停止にしてもエンジンが止まらない時は、そのまま燃料コックを閉じることで数分後にエンジンが止まります。

このような症状が見受けられる場合はそのまま使用せず、販売店やメーカーに相談して修理をしてもらいましょう。

溶接作業をする

溶接作業を行う場合は光源を直接見ないよう徹底しなければいけません。
前述した保護具を装着し、作業者以外の周りにいる人にもゴーグルなどの着用を促してください。

STEP.1
溶接する対象物にマイナス電流を流すためアースグリップを挟む。
STEP.2
溶接棒の先端をスタート位置に置き、先端ノズルのスイッチを押して電気火花(アーク)を出す。
STEP.3
溶接棒の角度は進行方向に対して45〜60°ほど傾けて動かしていく。

溶接作業って資格が必要??

この質問に関する答えは『いいえ』です。資格が無い方でもご自分の所有する溶接機を自由に使用出来ます。

??『じゃあなんで資格なんかが存在するの?確かアーク溶接作業者って国家資格だよね。持ってるとお給料が上がるとか?』

実はご自宅など私用の場合のみ免許が無くても扱える、というわけなので溶接業としてお仕事をする場合は必ず資格が必要になります。

つまり現場での使用は、特別教育を受け修了された方のみ扱えるということになります。

??『建築現場や造船なんかで溶接不良が出たら命に関わるもんね…例えDIY用途だったとしても安全のために講習を受けた方が良いかも。』

まとめ

今回はエンジン溶接機についての特徴と使用方法について詳しく解説しました。

溶接というと電源が必要ですが、エンジン溶接機があれば海の近くや木々が茂るような屋外など、場所を選ばずどこでも作業をすることが出来ます。

そしてこの装置は発電機としても使用できるため、溶接用途だけでなく電動工具を充電したり緊急時の非常電源としても活用することが出来ます。

自然災害が多く何が起こるか分からない昨今、一台持っておくと作業だけでなく非常時にも対応できるので、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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