ハンマードリルは、コンクリートの穴あけやハツリ作業、木材のねじ締め等、多彩な使い方が出来る便利な工具です。
DIYでも、工事現場でも活躍しています。今回の記事では、はつり工具のメリット・デメリットと選び方に関して解説します。
メリット・デメリット
一台あれば幅広く使用出来ます。しかし、状況によっては他の工具で作業した方が良いという場合もあります。
長所短所をしっかり理解し用途に合った機種を選びましょう。
メリット
突出した穴あけ能力
最大のメリットは、対象物がコンクリートの場合、穴あけ能力が飛びぬけている事です。52mmまでの穴あけをする事が出来るので作業の幅が広がります。
また、コアビットを使う事により150mmまでの穴を開けられます。大きな穴をたくさん開けたい場合、効率的に疲労を溜めずに作業出来るでしょう。
ハイパワーで作業可能
ビットを交換すれば、優れた打撃力を活かし幅広い作業が出来るようになります。
はつり用のビットを使い外壁を壊したり、先端がスコップになっているビットで植木用の大きな穴を掘る事も出来ます。
集じん機の取り付けに対応
多くの機種では集じん機に接続する事が可能な為、ガレージや店舗等、周囲を汚す事が出来ない現場で活躍してくれます。
振動ドリルの場合は集じん機の取り付けができないものが多く、大量の紛じんが発生する作業に向いていません。
デメリット
専用のビットが必要になる
一般的なビットは、ハンマードリルのパワーに耐えられないため使用できません。
その為「SDSプラス」や「SDSマックス」という規格のビットを購入しなければなりません。
専用のビットは大型な物が多く、一般的なビットより高価です。消耗品であるビットの維持費が上がってしまうのはデメリットと言えるでしょう。
繊細な作業は苦手
「回転のみ」モードに設定すれば、電動ドリル同様に木材の穴あけやネジ締めが出来る便利なハンマードリルですが、本体が大きく重い為、小さな対象物に小さな穴を開ける作業には向いていない事は否定できません。
作業音が大きい
ハンマードリルの構造上、作業中の打撃音はかなりの騒音です。営業中の店舗での作業や、夜間や早朝に作業する際には周囲に注意する必要があります。
作業者自身の聴覚にも異常を与える可能性があるので、耳栓をする等の対策をとった上で作業しましょう。
本体が大型
ハンマードリルは基本的に大型な物が多く、10kg以上のものもあります。
コストがかかる
ハンマードリルはハイパワーですが、消費電力が大きいです。
また、本体の価格はもちろん、消耗品のビットも高額です。その為導入コストや運用コストが高額です。
ハンマードリルの選び方
駆動方式で選ぶ
充電式
メリットは、電源を気にせず、屋外等でも使用出来る事です。
また、コードがないので取り回しがしやすいです。電圧は10~36Vと各種あり、電圧が高い機種ほど性能も高いのが一般的です。
一方デメリットとしては、AC電源式と比べて、穴あけ能力が劣ります。
更に、バッテリー切れの心配があり、バッテリーの分だけ本体重量が重くなります。バッテリーは異なるメーカー間では互換性はありません。
但し、同一メーカーなら他の工具でも、電圧が同一であれば併用出来る事もあります。
さまざまな電動工具を揃える予定があるならば、同一のメーカーでそろえた方がコストを抑制できます。
AC電源式
このタイプは、穴あけ能力が高いのが特徴です。
充電式の穴あけ能力は最大で40mmですが、AC電源式のハイエンドモデルであれば50mmを超える製品も発売されています。
また、何時間使おうともバッテリー切れがないのも大きなメリットです。
但し、常に電源を必要としますので、電源が無い場所では使用出来ませんし、作業中はコードをひっかけないようにする等、注意が必要です。
しかし、スペックが同じ機種であれば、充電式と比較して安価です。はつりなどパワーがいる場合にはAC電源式をおすすめします。
穴あけ能力で選ぶ
穴あけ能力とは、その機種であけられる最大穴径です。ハンマードリルは穴あけをするものなので、使用に不足がないように選択しましょう。
なお、ドリルビットにコアドリルを選ぶ事で指定寸法以上の穴あけが可能になります。
DIY用途は20mm程度
コンクリートや石材に固定具用の下穴をあける等の用途であれば、能力は20mm程度で十分です。
あけた穴にアンカーを打ち込んだり、電線やチューブを通す等の作業を行えます。
このクラスの製品というと、軽いハンマードリルです。径の小さなビットと組み合わせれば繊細な穴あけも難なくこなせます。
はつりに使う場合は20mm以上
コンクリートを割るようなはつりを行う場合には、穴あけ能力20mm以上の機種を使いたいところです。。
一度に壊せる範囲が広がり、効率よく作業出来ます。細かな穴あけには向いていませんが、比較的大きな穴を開けたい時には最適です。
ビットの取付規格で選ぶ
ビットの取付規格は大きく分けて3つの種類に分かれます。六角軸やSDS-PLUS、SDS-MAXが主流で互換性がないので注意が必要です。
変換アダプダ―も存在しませんので、購入する際には十分注意して下さい。
SDS-MAXは頑丈でパワーロスの少ない構造で、中型や大型のタイプに使われています。
SDS-PLUSもパワーロスが少なく最近の主流となっており、ビットの種類が多いのが特徴です。
はつりモードの有無
機種によっては、打撃モードに切り替えられるハンマードリルがあります。プルポイントを付けていれば軽いはつりが出来ます。
集じん機能の有無
コンクリートに穴あけをするハンマードリルは、細かい粉じんや破片が飛散しやすいです。そのため、屋内はもちろん屋外であっても後片付けの手間がかかります。
また、作業する人に紛じんが飛んでくる事もあります。
特に、天井等上を向いて作業する場合はゴーグルやマスクをしていても、顔や髪の毛、服などが汚れてしまいます。
紛じんが飛び散りにくい本格的と言える集じんシステムを搭載したハンマードリルであれば、ダストボックスに紛じんを収納し、フィルターで紛じんを濾過して排気をクリーンにする事が可能です。
また、集じん機能が付いていない安価な機種では、集じんカップを利用するのも効果的です。ハンマードリルの先にカップを装着する事により紛じんの飛散を軽減出来ます。
紛じんがドリル内部に入ってしまうと、故障の原因となりかねないので集じん機能も確認しておきましょう。
機能で選ぶ
機能としては、安全に使用出来るように搭載されている物が多いです。
暗所で役立つLEDライト
屋根裏や床下等の暗所での穴あけ作業にはLEDライトが搭載されていると便利です。墨付けのマークをしっかり視認する事が出来るので、間違いない作業が出来ます。
屋外でも上向き・下向きに使うと影になりやすいのでライトを点けて作業しましょう
回転のみ・打撃のみに切り替え可能
ハンマードリルは回転と打撃を組み合わせた工具ですが、どちらか一つのモードだけしか使わない事もあります。
ブルポイントを装着するはつりでは回転を使う事はありませんし、木材への穴あけであれば回転だけの方がきれいな穴をあけられます。
コンクリートへの穴あけ以外の用途にも使用したいのであれば、モード切替できる機種を選びましょう。
防じん防滴機能
穴あけ・はつりで発生する紛じんや降雨などの水分は故障につながる恐れがあります。動作不良を防いで長く使う為にも、防じん防滴であるか確認して下さい。
但し、この機能が搭載されているとしても、完全に故障を防ぐ事は出来ません。
なるべく紛じんや雨がかからないように注意し、手入れをしっかり行いましょう。
サイドハンドル付きモデル
穴あけを精密に行うのであれば、サイドハンドルは必須です。
回転・打撃を加えながら硬いコンクリートへ押し込んでいくので、ハンドル1つで本体を支えるのは困難です。
特に重量のあるモデルはサイドハンドルをしっかり握って扱いましょう。
ハンマードリルのメーカーについて
マキタ
高い国内シェアを誇る電動工具大手のマキタは、1938年に設立されたメーカーです。
海外への輸出も多く、現場のプロの職人から、DIYを楽しむビギナーまで、幅広く支持されています。ハンマードリルをはじめ、電動工具全般にわたって扱い機種が豊富です。
更に、電動工具専門メーカーなのでバッテリーやアタッチメントなどの周辺部品も充実しています。
拡張性も高く、ハンマードリルを購入する際に、まずチェックしておきたいメーカーです。
HiKOKI
ハイコーキは電動工具で最大手だった日立工機を継承したブランドです。技術力の高さが人気です。
18Vと同サイズで36Vのパワーを発揮できるのが魅力です。商品の品ぞろえが多いのとコストパフォーマンスが良いメーカーです。
ボッシュ
職人向けのハイスペックなハンマードリルからDIY向きの初心者向けのハンマードリルまで幅広い電動工具の販売を行っています。
職人向けのモデルではコンクリートに対しても28mm径の穴あけが出来る能力があり、本体重量も2.9Kgまでに抑えられています。
長所としてはアクティブバイブレーションコントロール機能を搭載している点にあります。
作業が長時間に及んでも負担を感じる事が少なく、ハンマードリルの扱いに慣れていない方でも使いやすいということにメリットを感じている方が多く存在します。
Panasonic
皆さんご存知の家電が有名な電気機器メーカーです。充電池の技術力が高く、パワフルでタフな製品が特徴的です。
一般ユーザーはもちろん、プロからも人気のブランドとなっています。
まとめ
今回は、はつり工具のメリット・デメリットと選び方に関して解説致しました。
ハンマードリルはコンクリートの穴あけに特に適しており、打撃力を活かしたはつり作業から、回転力を活かしたネジ締めまでをこなすパワフルで器用な工具です。
一方で振動ドリルと比較して大型で取り回しずらく、細かい作業には向いていません。どの程度の穴あけ・はつり作業に使いたいのか考慮の上選びましょう。