ビットとは電動工具(電動ドリル、インパクトレンチ、電動ドライバー、ルーターなど)の先端に装着する工具の付属品。特に目にするのはドライバービット、ドリルビットなどではないでしょうか。
ビットの機能を大きく分けると3種類(穴あけ用、締め付け用、研磨用)に分けられるといえます。さらにビットには硬度(熱処理区分)やサイズ、形状によって細かく種類分けが可能です。
先にビットの3種類の用途の概略とビットの名称を説明し、ビットの硬度、最後にドライバービットに含まれる形状をご説明します。
穴あけ用ビット
電動ドリルやインパクトドリルを使い、穴あけ作業で使われるドリルビット。穴のサイズによって使うビットの名称が変わります。
ドリルビット
穴をあける材質別に鉄工用、プラスチック用、ガラス用、木材用など分かれており、作業内容に合わせてビットを入れ替えて使うとビットが長持ちするとされます。
フォスナービット
フォスナービットは穴より大きな丸(マル)型をくり抜くときに使用するビットです。多くの場合は木材加工の現場で家具やドア、建材、グッズの製作作業で使われます。
ドリルビットよりも大きな穴をあけるときにも使用可能ですが、メインの用途は数センチの円形のくぼみを作るときに最も重宝されるビット。
あけられる円のサイズは小さいもので15㎜ほど、大きいもので35㎜が一般的です。
ホールソー
ホールソービットはフォスナービットよりも穴をあける作業に特化したビット。
対応できる材質も木材やプラスチックだけでなく、金属加工にも適しており、鉄板やステンレス、アルミニウムなど金属の穴あけに重宝するビットです。
フォスナービットように“くぼみ”は作れないため、あくまで大きい穴をあけ、金属部品の加工や配管、配線を通す穴を作るとき使用されます。
あけられる穴のサイズも小さいもので16㎜、大きなもので100㎜のホールソーがラインナップされています。
締め付け用ビット
ビットを使った締め付け作業で締めるのは大半がネジといえるのではないでしょうか。その時に使用されるのはドライバービット。
ネジの形状によって使うビットを変えなくては、締め作業ができません。加えて、ネジのサイズに合わせてビットサイズも考慮して用意しなくてはいけません。
代表的なドライバービットの形状はプラスとマイナス。ほかにも6角穴ビット、4角穴ビット、トルクスビットなどの種類がありますが、互換性がないためネジの形状に合わせて揃えておく必要があります。
その他にドライバービットの便利な機能としてマグネット付きであれば、緩めたネジを落としたりする心配が減るでしょう。
研磨用ビット
用途は限定されていますが、ビットのなかには表面を削ったり、研磨したりするためのビットがあります。
ルーターや電動グラインダーの先に取り付けてドリルであけた穴を研磨したり、金属板の角を滑らかにしたり、パテ埋めされて盛り上がった余分なパテを削ったり、模様を刻む際に使用されるビットです。
ほかの穴あけや締め付け作業に比べて、特殊な作業に使用されるケースが多いといえるでしょう。
材質に合わせて選ぶだけでなく形状もサイズ、種類が多いため本数を揃える必要があるといえるでしょう。
硬度(熱処理区分)
硬度は熱処理区分とも呼ばれ、ビット自体の硬さを表します。硬度の段階は5つあり、上から「X」が最も硬度が高く、「S」の硬度が低いとされています。
ビットを選ぶときにパッケージに表記があるため、作業内容とビットの硬度を参考にするとビットを長持ちさせられるでしょう。
硬度が高い順に、「X」が可能な限り最高硬度、「H」が高硬度、「G」が標準硬度、「E」が低硬度、「S」が一番下の低硬度となっています。一般的に硬度のEとSは同じような扱いになることが多いです。
硬度別に推奨される作業は「X(可能な限り最高硬度)」が精密ネジ、住宅関連ネジ、精密機器の組み立て。
「H(高硬度)」が木ネジ、タッピングネジ、小ネジ、セルフドリリングネジなど建築・土木作業、通信音響機器の組み立てに適しているとされます。
続いて中程度とされる「G(標準硬度)」はタッピングネジ、小ネジに適しており、自動車や機械の組み立て、サッシ組み立てに用途を想定。
硬度が低いとされる「E(低硬度)とS(低硬度)」はドリルネジ、タッピングネジに使用が想定されています。
ドライバービットの先端形状はどんなものがある?
締め付け作業で使用されるドライバービットは、他ビットよりも同じ形状のビットを揃えなくてはいけない付属品といえるかもしれません。
理由はプラスのドライバービット1本では対応できるサイズのプラスネジが限定されているからです。
プラスのネジのサイズに合わせて、刃先の大きさを変えて締める必要があります。
プラスドライバービット
プラスのドライバービットの刃先サイズはミリ単位で表記されたり、No1、2、3と段階で表記されたりとメーカーによってバラバラです。
1が小さいネジに締めるのに適しており、3が大きなプラスネジを締めるときに使います。
中間サイズの2が広く使えるサイズとされ、重宝されるようです。サイズの違いはマイナスのドライバービットも同様にあります。
マイナスドライバービット
マイナスのドライバービットも大きさの規格があり、表記がミリ単位やナンバーで表記がされています。
ナンバーの場合は#00からはじまり、#0、#1、#2、#3と番号が大きくなるにつれて、締めるネジも大きくなっていきます。
6角穴ビット(ヘックスビット)
ヘキサゴンビットと呼ばれることもある6角穴付きネジに使うビット。プラスやマイナスのネジよりもジャストサイズのビットを使わないと締めたり、緩めたりできないネジです。
そのため本数が何本もいるので、複数のビットがセットになっている製品を選びましょう。
4角穴ビット(スクエアビット)
スクエアビットとも呼ばれることもある4角形の穴ネジの締め付けに使用されるビット。
建築現場で使用されることが多く、4角穴ネジはトルクをよく伝え、ビット穴も破損しにくいとされます。
トルクスビット(星型ビット)
星型ビットと呼ばれることもあるアメリカ企業が開発した独特の形をしたネジに対応したビット。
星形ネジにはT型とE型があり、ビットで扱いが多いのはT型のトルクスネジとされます。
さらにT型には簡単に分解ができないように「いじり止めトルクス」と呼ばれるネジの中心部に突起のあるトルクスネジがあります。
いじり止めトルクスネジを緩めるときは、トルクスビットのなかで「いじり止めトルクスビット」が別に必要です。
形状がプラスやマイナスよりもトルク伝達がよく、磨耗による潰れや割れにくいとされ、一部の自動車やパソコンなどに普及が進んでいます。
6角穴付きネジと同様に締めるネジサイズと同じサイズのビットを用意しないと、締め付けや緩め作業ができません。
まとめ
ビットは作業内容や締めるネジの形状によって種類や大きさが異なり、ある程度の本数が必要な工具の付属品であり、消耗品といえるでしょう。
むやみに高いものは必要ありませんが、作業に適したビットを用意しないとすぐにビットが消耗、破損したり、緩めようとしたネジ穴を潰してしまったりと作業効率を下げてしまうときがあります。
参考サイト:
URL:トルクス®とは