『エンジン溶接機を実際に導入することでたくさんのメリットがあるらしいのですが、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか。あと、デメリットも理解した上で購入しようかと思っているので、そちらも併せて教えて下さい。』
今回の記事を読むとこんなことが分かります。
- エンジン溶接機とは?基本的な基礎知識あれこれ
- エンジン溶接機の具体的なメリットとデメリット
場所を選ばずどこでも溶接ができる『エンジン溶接機』をご存知でしょうか。
海や山などの屋外で溶接ができてしまうという、作業者にとってはこの上なく便利な機械ではありますが、本当に便利なの?そしてどんなデメリットが潜んでいるのでしょうか?
今回はエンジン溶接機について、メリットとデメリットを詳しくご紹介します。
そもそもエンジン溶接機ってなんですか?
ここでは初心者に向けたエンジン溶接機の基本的な特徴を簡単にご紹介していきます。
基礎は知っているから早くメリットデメリットを教えて欲しい!という方は次の項目にスキップしてくださいね。
特徴①電源がない場所でも溶接ができる
エンジン溶接機の最大の特徴はどんな場所でもarc溶接が出来るという点です。これにより屋外や電源を確保できないような場所でも溶接作業が可能になりました。
電源が要らないということは、あらかじめ事前の現場確認や電源確保の準備をする必要がないため、溶接作業の時間を削ることなく本来の工程に取り掛かることが出来ます。
Q、電源を増やすと電気会社から月額請求される??
新たに電源を増やすということは、商用電源の手続きや届出が必要であり、同時に基本使用量を電力会社に支払う義務が生じます。
??『普段から何気なく使っているお家の電気も、契約した電力会社から許可を貰って、さらに月額料金(基本料金)を支払ってようやく使えるんだよね。』
商用電源(しょうようでんげん)とは一般的にAC電源とも呼ばれ、電力の製造と販売を生業とする電力会社から消費者に届けられる電力を電力消費者に届けるための設備一般の総称。
A、エンジン溶接機においては、商用電源を引くための面倒な手続きや工事が不要であるため、基本料金が不要となりトータルランニングコストが割安で使用することが出来ます。
特徴②発電機(非常電源)としても使用できる
エンジン溶接機なので溶接しかできないのでは?と思うかも知れませんが、発電機と兼用のものが多く最大30Aの急速充電が可能です。
そのため溶接の休憩中に他の電動工具を充電したり、2台同時に溶接作業をすることができるタイプもあります。
また野外でのイベント時の電源確保や、災害時の電源として使用できるのでとても便利であることが伺えます。
??『日本は地震をはじめ、台風や豪雨が多い自然災害大国として世界的に有名なんだよね。この機械があればいざという時に電気を確保できるから安心かも。』
しかし、精密機器の充電や電源としての使用は故障につながりますので控えてください。
知っておきたい!ここがポイント
二つの燃料タイプに区別される
ガソリン溶接機と一口に言っても実は2種類の燃料タイプがあり、どちらも使用する燃料や特徴が違いますのでしっかりと確認してください。
ここでは具体的な違いを下記の表にまとめました。
名称 | 主な用途と特徴 |
---|---|
ガソリンタイプ | ディーゼルタイプと比較すると小型かつ軽量なので持ち運びに便利。(だいたい30kgほど) インバーターを搭載したタイプは様々な電気機器を使用することができる。(※1) 一人で持ち運べるほど携帯性に優れており、色々な場所に持ち出す機会が多い方は断然ガソリン式がオススメ。 |
ディーゼルタイプ | ガソリンタイプより静かに動作するので騒音対策をしたい場合はこちらがオススメ。 頑丈な構造で燃料タンクも大容量に設定されており、軽油を使用するためランニングコストが安い。 |
(※1)ただし精密機器やマイコン搭載機器、コンピュータの電源としての使用は機器の故障につながるので使用を控えましょう。
??『インバーター搭載機や機器との間にインバーターを挟んだりして電流を安定させる方法もあるけど、それでも故障したっていう報告が多いから、精密機器は繋がないようにしよっと。』
具体的なメリット・デメリットを解説!
ここからはエンジン溶接機のメリット・デメリットを解説していきたいと思います。まずは一覧にするとこんな感じです。
- 場所を選ばず溶接作業が可能
- メンテナンスや操作がカンタン
- ランニングコストが安い
- 付加機能が豊富で作業者に優しい設計
- 本体価格は高めに設定されている
- 大型タイプは持ち運びに苦労する
◯メリット1 場所を選ばず溶接作業が可能
なんといってもエンジン溶接機の一番の特徴はこれに尽きると思います。
溶接といえば工場や作業場などの室内で行うことがメインでしたが、エンジン溶接機のおかげで屋外でも溶接をすることができるようになりました。
著者の居住区は港町なので、船舶の修理をするために業者さんがトラックの荷台に溶接機を積んで来て、出張溶接をしている風景をよく目にします。
??『軽トラックの荷台に横向きで乗せられるくらいコンパクトな機種があるんだね。これならいつでも溶接をすることができるね!』
◯メリット2 メンテナンスや操作がカンタン
エンジンという名称から想像できるように、自動車のキーを回す感覚で始動・停止できるので、初めて使う方にも簡単に扱うことが出来ます。
また操作と同じくメンテナンスも簡単に行えるよう設計されており、ワンタッチでドアを開閉できるため複雑な分解が不要であり、簡単に内部にアクセスすることが出来ます。
??『新しい機種はブラシレス機構を搭載していてメンテナンスフリーなタイプもあるから、私みたいなめんどくさがり屋にピッタリ!』
この扱いやすさと手軽さはエンジン溶接機の大きなメリットと言えます。
◯メリット3 ランニングコストが安い
様々な機器を使用する上で、高価な機器ほど長く使用したいと思うのは当然のことですが、長く愛用するにはランニングコストが重要になってきます。
エンジン溶接機は電源を必要としないため、商用電源としての面倒な手続きやそれに伴う基本料金や工事費などが一切不要なのでトータルコストの削減になります。
??『確かに、本体が安くても日々の使用料や消耗品を頻繁に交換するようじゃ結果的に高くなってしまうよね。電気の基本料金が不要ならランニングコストも安くて長く使えるね!』
◯メリット4 付加機能が豊富で作業者に優しい設計
エンジン溶接機には、備わってたら便利だなと思う機能がたくさん搭載されており、作業者の要望をしっかりと取り入れております。
ここでは便利機能の一部をご紹介したいと思います。
- エンジンスターター&バッテリー充電機能
- 最大30Aの急速充電
- 自動ストップ機能付オイルセンサー
- エコスローダウン機能
- 自動アイドリングストップ
- 超静音性エンジン駆動
- 200v対応インバーター発電併用
- デジタルモニター搭載
環境や騒音対策もしっかりと配慮されており、安心して使用することができるので頻繁に持ち運んで作業をされる方にぴったりの機械であります。
??『最近は現場作業以外でも騒音トラブルが多発してるんだけど、気になる静音性は59デシベルで、これは普段の会話と同レベルらしくとっても静か!』
×デメリット1 本体価格は高めに設定されている
ここまでたくさんのメリットをご紹介しましたが、デメリットも一定数ありますのでそちらを加味した上での導入をおすすめします。
まずは本体価格が決して安いとは言えず、基本的に18〜20万円以上、高いものだと100万円以上するところが気になる点です。
こうなると、せっかく気になった本体もカンタンに導入するにはハードルが高く見送ってしまいがちですが、レンタルリースを活用して使い心地を確かめてから正式に導入する方法があります。
メーカーや販売代理店にもよりますが、一日2,000円から貸し出しているのでそちらも検討してみて下さい。
×デメリット2 大型タイプは持ち運びに苦労する
ディーゼルタイプの本体重量は400kg近くあり、容易に移動させることはもちろん重機がない場合は絶対に動かせないのが難点であります。
その分ハイパワーであり発電機としても活用できるため妥当な重さとも言えるのですが、頻繁に持ち運ぶ機械が多い人はガソリンタイプを導入しましょう。
ガソリンタイプは60kgとコンパクトなものが多く、底部には四輪タイヤも搭載しているものもあり大変取り回しやすくなっております。
??『軽トラックに乗せてあちこちで作業するなら絶対にガソリンタイプがおすすめ!クレーン付きトラックなんかを持っているならディーゼルタイプも良いかも。』
まとめ
今回はエンジン溶接機の基本的な情報とメリット・デメリットを詳しく解説しました。
場所を選ばず溶接ができるという点はとても大きなメリットであり、安易に移動させられないような大型の対象物にも難なく溶接ができます。
ガソリンとディーゼルはそれぞれ特徴が違うため、ご自身の用途や作業傾向に合ったタイプを選ぶことで最大限の効率を発揮してくれることでしょう。
また発電機としての使用も可能であり、年々災害に対する意識も高まって来ているため、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。