切断、研削、研磨、これらの作業には、それぞれ専用の工具がそれぞれ必要でした。
ですが、刃を付け替える、アタッチメントを変えるだけで、これらの作業を1つの工具できるものがマルチツールです。
素材も木材だけでなく、金属管、Pタイルなど作業する素材に合わせて、使える替え刃が用意されています。
マルチツールの種類
マルチツールには、
- 替え刃を変え、幅広い作業が行えるもの
- 電動ドリルのヘッドを交換し、複数の作業が行えるもの
この2つのタイプがあります。そこで、2つのタイプのマルチツールの使い方をご紹介して、最後に代表的なマルチツール製品と値段をご紹介します。
先端の替え刃を変えるマルチツール
作業ごとに、先の短い刃を六角坊レンチで変えて使います。刃が細かく振動して、切断や剥離ができます。
刃が短いので、作業のときに刃が長い工具に比べて、跳ね返りや巻き返しが少なく安全です。
マルチツールで一番使われるのは切断作業になります。
木材、石こうボードの切断
例えば、工具メーカーマキタからは、19種類の木材の切断に使える替え刃があります。
具体的には、
- 木材のきわ切り⇒ラウンドソーTMA007
- 硬い木のポケット切断に使える替え刃⇒カットソーTMA010 BIM
などがあります。
木材、石こうボードの切り抜き
切り抜き作業には、替え刃がまっすぐなカットソーに換えると、木材、石こうボードの切り抜き作業ができます。
金属の切断
金属は素材が鋼、銅、アルミなどの数種類に分かれています。それら素材に合わせて、替え刃があります。
替え刃のラウンドソーTMA002 BIMは金属だけでなく、エポキシ、グラスファイバーの切断作業もできます。
カットソーTMA015 BIMは銅管の切断用です。カットソーTMA030 BIMは釘、ビス、ステンレス、グラスファイバー、N釘、CN釘も切断できます。
FRP、陶器タイルの切断
FRPの切断は、
- カットソーTMA027 HM
- カットソーTMA028 HM
- ラウンドソーTMA026ダイヤ
があります。ウランドソーTMA026ダイヤは陶器タイルの切断もできます。
ゴム、カーペットの切断
- 柔らかい素材の切断:ナイフ刃のTMA020 BIM
- Pタイル・カーペットの切断:ラウンドソーTMA029 BIM
などが使えます。
剥離作業
固まった接着剤やコーキングを剥がすとき、以前ならスクレイパーで作業することがあったと思います。
マルチツールならスクレイパーの形をした替え刃があり、それに変えるだけで簡単に剥がす作業が終わります。
Pタイル切断と剥がし作業
先端を少し尖った替え刃TMA036 HCSは、Pタイル切断、コーキング剥がし用となっています。それ以外にも断熱材のスタイロフォームも切断できるようになっています。
コーキングの除去
スクレイパー用の替え刃には、コーキングを剥がすことができる替え刃である
- TMA019
- TMA021
があります。TMA019の替え刃は柔らかく、コーキングを剥がすだけでなく、塗料の剥がしにも使える優れものです。
硬化した接着材・ボンドの除去
硬化したボンドを剥がし、除去する作業には、スクレイパー用の替え刃TMA018が使えます。TMA019に比べて、硬い替え刃です。
モルタルの剥離作業
モルタル剥離作業用にも替え刃が用意されており、
- 剥がし用:TMA022
- 粗削り用:TMA025 HM
この2種類があります。
木材研磨作業
マルチツールは木材の研磨をすることもできます。目的に合わせたマジックサンディングペーパー取り付けてやれば、研磨作業ができます。
ヘッドを変えて、切る、穴あけ、ねじ締め、研磨ができるマルチツール
インターネットでマルチツールについて検索すると、最初に紹介した刃を変えるタイプ以外に、もう1つマルチツールという名前の工具があります。
電動ドリルのヘッドを変え、複数の作業に対応する工具です。こちらは別名コンボツールといいます。
少しややこしいので、こちらも誤解を避けるため、ご紹介します。分かりやすくするため、コンボツールという名前のほうを使います。
コンボツールはヘッドを交換して、
- ドリル
- インパクト
- サンダー
- 丸ノコ
- 電ノコ
など複数の工具として作業をすることができます。付属するヘッドの種類が少し違うので、対応してほしい作業に合わせてコンボツールは選びましょう。
参考: モノタロウ
参考: 楽天
穴あけ作業
ヘッドをドリルヘッドに交換して、ドリルビットを取り付ければ、穴あけ作業ができます。ビットは、穴を空ける素材に合わせて、選んで取り付けて下さい。
ネジ締め作業
インパクトのヘッドに交換して、ドライバービットを取り付けると、ネジ締め作業ができます。
トルク調整機能を搭載しているタイプであれば、締めすぎてネジをつぶしてしまう心配もありません。
切断作業
コンボツールには丸ノコヘッドが付いています。製品によってはジグソーヘッドの場合があります。
これらヘッドがあると、まるで電動ドリルを持っていながら、木材の切断作業ができるとても便利なヘッドです。
研磨作業
研磨用にサンダーヘッドが付属しているコンボツールは、仕上げの研磨作業ができます。目的に合わせたサンダーペーパーを取り付けて、表面を磨くだけで作業が終了です。
マルチツールの製品
とても便利なマルチツールは、大手工具メーカー各社から販売されています。
ここでは有名なマキタ、ボッシュ、日立工機から販売されているマルチツールの製品をタイプ別に紹介しています。
性能や出力など、細かく値段もそれぞれ分かれていますが、大きな違いはコードタイプかコードレスタイプかということです。コードレスタイプのほうが値段は上がります。
作業現場に合わせて、選んでいただくのがよいでしょう。
マキタ
有名工具メーカーのマキタは、コードレスのマルチツールを4種類販売しています。用意してある替え刃は42種類です。
TM51DRG | 標準小売価格 58,500円 |
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TM51DRT | 標準小売価格 57,900円 |
TM51DRM | 標準小売価格 56,000円 |
TM51DRF | 標準小売価格 54,900円 |
ボッシュ
ボッシュはコンセントが必要なコード付きとコードレスに分かれて製品を用意しています。
【マルチツール】
GMF 30-28 Professional | 希望小売価格 21,500円 |
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GMF 40-30 Professional | 希望小売価格 30,500円 |
GMF 50-36 Professional | 希望小売価格 55,000円 |
【コードレスマルチツール】
GMF 18V-28H Professional | 希望小売価格 35,000円 |
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GMF 10.8V-28 Professional | 希望小売価格 20,000円 |
引用:ボッシュ マルチツール
HIKOKI(日立工機)
日立工機はボッシュと似て、コード付きとコードレスの2種類ですが、替え刃が37種類用意しています。
【マルチツール】
CV350V | 希望小売価格 27,500円 |
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【コードレスマルチツール】
CV14DBL | 希望小売価格 62,900円 |
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CV18DBL | 希望小売価格 66,800円 |
引用: HIKOKI コードレスマルチツール:CV14DBL/CV18DBL
コンボツール
2021年4月現在、コンボツールは日本の大手工具メーカーでは販売していません。販売されているのは海外メーカーか、マイナーメーカーであるため製品は限られています。
ブラックアンドデッカー
アメリカの工具メーカーで、電動マルチツールキットという名前で楽天やアマゾンで販売をしています。
付属ヘッドが5種類のEVO185B1と付属ヘッドが3種類のEVO183C1の2種類があります。
スマイル(モノタロウ)
工具や資材、材料を扱うオンラインサイトモノタロウで販売がされているコンボツールは2種類です。
4種類のヘッドが用意されている アディショナルセット | 販売価格 17,990円 |
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3種類のヘッドが付属する ベーシックセット | 販売価格 14,990円 |
まとめ
1つの工具で、内容の違う作業に対応してくれるマルチールはとても便利です。少し本格的なDIYをやろうと思う人には、このマルチツールはとても助かります。
しかも、工具が小さくて、かさばらないのは専門職の人にも嬉しい限りです。作業に合わせて、使う替え刃とヘッドを揃えておけば作業がとても効率的にできます。