建築現場、整備作業、DIYをするときインパクトレンチがあると便利です。インパクトレンチを使えば、効率的にネジやナットを締める作業を進めることができます。
そのインパクトレンチにも種類があり、使い方がそれぞれ違い、向き不向きがあります。使い方や特徴を知っておかないと、インパクトレンチを十分に使いこなせません。
今回はインパクトレンチのなかでも、充電インパクトレンチについて使い方をご紹介します。
インパクトレンチの種類
まずはインパクトレンチにはどんな種類があるのかを確認しておきましょう。作業内容に合ったインパクトレンチを選ぶことが作業の効率化で重要になります。
エアインパクトレンチ
空気の圧力でトルクを発生させるインパクトレンチを一般的に「エアインパクト」と呼ぶことが多いです。
エアインパクトレンチは、エアーコンプレッサーからホースをつないで使います。電気式のインパクトレンチと比べて、強い力で締め付けることができます。
AC電源コード式インパクトレンチ
電気で動くインパクトレンチを「電動インパクト」と呼びます。そのなかでも電源コードで動くものと、充電式のものに分けられます。
電源コード式は充電式のインパクトレンチに比べて、軽くて値段が安くなる傾向があります。作業現場で電源が確保されている場合はとても便利に使えます。
充電インパクトレンチ
バッテリー式のため、場所を選ばず使えるメリットがあります。特に高所作業や電源確保ができない屋外作業で便利です。
以前は締め付けトルクが低いと言われていましたが、最近のモデルでは技術の発達でトルク不足も改善しています。
マキタの充電インパクトレンチTW001GRDXは、最大締め付けトルクが1,350N・m(ニュートンメーター)というエアインパクトと変わらないトルクを持っているものが販売されています。
充電インパクトレンチの使い方
充電インパクトレンチの使い方は、エアインパクトレンチ、電源コード式のインパクトレンチとあまり変わりません。
しかし、充電バッテリーなので電源やエアタンクがない作業現場でも使えて便利です。
その一方で、他の2つのインパクトレンチより扱いに気を付けるところがいくつかあります。
使う前の注意点
充電インパクトレンチが活躍する作業の1つに高所作業があります。この作業中、ソケットの脱落に注意が必要です。
地上で作業する場合、ソケットが取れても床に落ちるだけです。しかし、高所作業では話が違います。
ソケットの脱落防止
インパクトレンチにはアンビルと呼ばれるソケットを取り付ける四角の部品があります。この部品に穴が開いています。この穴はソケットが脱落防止用に機能します。
ソケットの横にも同様に穴が開いており、ソケットの穴とアンビルの穴を重ねて、ピンを通し、Oリングでピンを固定します。
こうすることでソケットの脱落が防止できます。高所作業中にソケットが脱落した場合、大事故になる可能性があるため、脱落防止をしっかりして作業する必要があります。
ソケットはインパクトレンチ用を使う
ハンドツールのラチェットに取り付けるソケットもインパクトレンチに取り付けることできます。ですが、それで作業するのは危険です。
理由は締め付ける力が段違いにインパクトレンチのほうが強いため、ラチェット用のソケットを使うとソケットが砕ける場合があり危険です。
差し込み角
ソケットを取り付ける差し込み口(差込角)にはサイズがあります。サイズが大きいほうが強い力でボルト締め付けることができます。
一般的なサイズは9.5㎜、12.7㎜、19㎜、25.4㎜の4種類となっています。
変換アダプターもあるため、差し込み口のサイズが小さいソケットを、大きなソケットの充電インパクトレンチにつけることや、その逆もできます。
ですが、大きなソケットを取り付けるインパクトレンチはトルクが大きいため、トルク制限をしておかないと、小さな差込角のソケットが破損する可能性があります。
ソケット種類
ナットを締めたり緩めたりするソケット、インパクトレンチの差込口のサイズを変更する変換アダプター以外にもソケットは数多くあります。そのなかで代表的なものを例として説明します。
6角ソケット(ヘキサゴンソケット)
6角ネジと呼ばれるネジを締めるときに使うソケットです。大型の家具の組み立てなどで使用されることが多いです。
ビットアダプタ
ドリルビットやドライバービットを先に差し込んで、電動インパクトドライバーの代わりになる便利な変換アダプターの1つです。
とはいえ、締める力が強いので、使い方を間違える簡単にネジを潰してしまいます。
ホームタイ用ソケット
建築現場でコンクリートを流し込む枠組みを作るとき、型枠を止めるためホームタイと呼ばれるボルトを使います。
このボルトの形は普通のボルトとはかなり違うため、専用のソケットで作業を行う必要があります。
薄型ソケット
一般的なソケットは、インパクトレンチの強い締めつけに耐えられるように重く、分厚い作りをしています。
しかし、車のタイヤ交換のとき、タイヤホイールのデザインでナットの差込口が細く狭いものがあります。
その場合、通常のソケットは大きすぎて入らないため、薄型のソケットを使います。便利ですが、耐久性や強度が劣るため、使う作業を限定しないといけません。
重さ
充電インパクトレンチのそのものの重さは1キロぐらいの軽い工具です。しかし、そこにバッテリーを取り付けるため、重さは2倍ぐらいになります。
加えて、長く作業するため付属のバッテリーではなく、蓄電量の大きいバッテリーを取り付けると、さらに重さが増えます。
高所作業で3キロほどの重さの工具を持ち続ける負担は大きいため、落下防止策をしておく必要があります。
まとめ
充電インパクトレンチは、エアインパクトレンチに比べて手軽に使える便利な工具です。ですが、その締め付ける力は他の工具より高いため、使い方を間違えると工具やネジの破損が起きる可能性があります。
専用のソケットを使い、締め付けるトルクをコントロールして、作業を効率的に行いましょう。