『電気ヤスリって本当に便利なのかな?だってさ、他のサンダーやグラインダーで研磨すれば良いじゃないですか。本当に実用性があるのか、導入するメリットデメリットを教えて欲しい。』
今回の記事を読むとこんなことが分かります。
- 電気やすりとは?基本的な基礎知識あれこれ
- 電気やすりの具体的なメリットとデメリットについて
細やかな作業を得意とする電気やすりですが、研磨作業であれば他の工具でも代わりがきくと主張するお悩み人。
…果たして本当に他の工具で代用できるのでしょうか。電気やすりは必要ない電動工具なのか?
今回はそんな電気やすりについての基礎知識と、導入するメリット・デメリットを詳しくご紹介します。
そもそも電気やすりってなんですか?
ここでは初心者に向けた電気やすりの基本的な特徴を簡単にご紹介していきます。
基礎は知っているから早くメリットデメリットを教えて欲しい!という方は次の項目にスキップしてくださいね。
特徴① 凹んでいる箇所や狭い場所の研磨が得意
金属バリ取りや刃研ぎであれば他の電動工具でも出来ますが、通常の研磨工具に比べ先端部が小さく設計されているので狭いところにも簡単にアクセスして作業が出来ます。
具体的には鉄パイプを切断時、表面や断面だけでなく内側にもバリが発生します。
電気やすりのコンパクトなベルト部を差し込んで研磨できるので、手の届きづらい箇所の作業に最適です。
特徴② 先端部の角度を調整して楽な姿勢で作業可能
電気やすりは先端のエンドレスベルト部の角度を55°の範囲内で変更することが出来ます。
つまり、自分の作業しやすい姿勢を保ちながら研削することができたり、アクセスしづらい隙間や材料の裏側の研磨も簡単に行えます。
結果として作業者は姿勢を変えなくて良いので身体的にも楽になり、作業効率も大幅に上がることが期待できます。
特徴③ 状況に応じた幅広い研削作業が得意
電気ヤスリは通常のサンダーでは研磨することの出来ない細やかな箇所の研磨に適しています。
ここでは電気やすりが得意な作業をまとめました。
作業工程 | 作業内容 |
---|---|
鉄パイプの内側、外側のバリ取り | 切断した鉄パイプの断面、内側、外側に発生したバリを綺麗に整えることが出来る。 通常の研磨機ではパイプの内側にできたバリを取るのは苦労するが、電気やすりの細口ヘッドで簡単に除去出来る。 |
農耕具の刃研ぎ(仕上げ、荒砥ぎ) | 主に鎌の荒研ぎや芝刈りハサミの仕上げ研ぎなどに使用できる。 一般的なサンダーやグラインダーでも刃研ぎ自体は可能だが、電気やすりなら片手で簡単に操作できるので手軽に使うことが出来る。 |
溶接のビード削り | 溶接ビードとは、アーク溶接の作業をしている際に金属がみみず腫れのように盛り上がった箇所の総称。 ビードを除去する方法は圧延、潰し、切削の3種類あるが、電気やすりなどを使用して切削するのが低コストかつ仕上がりも綺麗になる。 |
樹脂やゴム等のバリ取り | バリ取りと聞くと金属もしくは木材に対する工程が一般的だが、切断する事によってプラスチックなどの樹脂にもバリが発生する。 電気やすりは作業や材料に合わせて本体の回転速度を調整できるので、材料の削りすぎを防ぎながら細やかな作業が出来る。 |
金属の塗装はがし | 塗装はがしをいかに丁寧に出来るかで、その後の仕上がりが大きく変わるが中々に大変な作業である。 通常サイズのベルトサンダーでは研磨することが出来ない細かな箇所、わざわざ工具を用意して作業するほどでもないちょっとした研削には電気やすりが最適である。 |
ヘッジトリマー刃の研ぎ出し | ヘッジトリマーとは、2枚のブレードを鋏のように高速で擦り合わせ生垣や樹木の剪定をする電動刈込み機である。 ヘッジトリマーの刃はノコギリのような形状をしており、目の一つ一つを研ぐのは大変な作業だが、電気やすりで刃の隅々まで研ぎ上げることが出来る。 |
バリカン刃の研ぎ | ここで言うバリカンとは、美容や理容の物とは異なり主に芝生に刈り込みに使用するものを指す。こちらもヘッジトリマー同様、複雑な構造のため手作業で刃を研ぐのは苦労を要するが、電気やすりを用いることで簡単に研ぎ上げることが出来る。 |
上記2つの替刃は安い物で3〜4000円ほどするので、頻繁に研磨や刈り込み作業をする人には重要なポイントです。
電気やすり本体は15,000〜20,000円ほどの価格設定なので、替刃を購入する前にこちらで何度か研ぐことで本体代金分の元が取れると言われております。
??『いろんなことに使えてお財布にも優しいなんて、とっても素敵な電動工具ね!』
具体的なメリット・デメリットを解説!
ここからは電気やすりのメリット・デメリットを解説していきたいと思います。
まずは一覧にするとこんな感じです。
- 金属や木材、プラなどのバリ取りに最適
- 55°の可動域で作業者に優しい構造設計
- 替刃のコストカットやランニングコストが優秀
- 片手で使用できる手軽さと程よいパワー
- 研磨以外の作業はできない
- 商品のラインナップが少ない
◯メリット1:金属や木材、プラなどのバリ取りや研磨に最適
電気やすりは様々な素材を加工することができ、主に金属や木材の研磨や加工、プラスチックなどの樹脂パーツにも使用することが出来ます。
??『そのほかにもアイデア次第でいろんな素材にも使用できそうだけど、ひとまず公式が推奨している素材を紹介したよ!』
ヘッジトリマーやバリカンの刃を手作業で研ぐには相当な労力を要するので、ここは電気やすりを使ってスピーディーに研磨しましょう。
また身近なモノでは、草刈り用のカマや家庭菜園、お庭の手入れで使う剪定バサミの刃を研ぎ上げたりも可能です。
最近は特に、ご自宅での木工細工などのDIY作業で大活躍しており、手間のかかる木材の仕上げなどに最適です。
◯メリット2:55°の可動域で作業者に優しい構造設計
電気やすりのエンドレスベルトと呼ばれる先端部は、55°の範囲内であれば自由に角度調整が可能なので、楽な姿勢で作業をすることが可能です。
固定された手すりの裏側や、低い位置にある対象物の底面などのいわゆる『作業しづらい場所』に対して大きな効果があります。
低くかがんだり頻繁に工具を持ち替えて作業をすると、いつも以上に疲労が溜まるだけでなく予想外の事故や怪我に繋がる恐れがあるため、この機能はとても重要であります。
つまり電気やすりを導入した結果、作業者の負担も減り、作業効率が大きく向上するということになります。
◯メリット3:コストカット及びランニングコストが優秀
このように替刃にもメリットデメリットがあり、切れ味が落ちたからと言ってすぐに交換すれば良いというわけではありません。
一般的なヘッジトリマーの本体代金が9,800〜15,000円なのに対して、替刃は3〜4000円するものが多く、都度替刃を購入…なんてことを繰り返した結果…
あっという間にもう一台、電動工具が新品で買えた。なんてことになりかねません。
電気やすりの替えベルトは1,000円ほどで購入できるので、消耗を気にせずたくさん研磨して、最適なコストパフォーマンスを目指しましょう。
◯メリット4:片手で使用できる手軽さと程よいパワー
通常のベルトサンダーを使用する場合、必ず両手で支えて研磨する必要がありますが、電気やすりは片手で持って軽快に作業することが出来ます。
このため作業初心者や女性でも簡単に扱うことができ、最近ではオリジナル家具を作成する奥様方や、知育の一環としてお子さんと共に工具を使用する方が増えてきています。
研磨は疲れるし、切れ味も悪いからと使わないで物置にしまい込んだカマや剪定バサミを、電気やすりを使って切れ味を蘇らせてみてはいかがでしょうか。
×デメリット1:研磨以外の作業はできない
ここまでたくさんのメリットをご紹介してきましたが、やはりデメリットもしっかりと理解した上で導入するかどうかを検討するべきです。
電気やすりはヤスリなので、当然ながら研磨以外の作業には向いていませんし、アタッチメントを付け替えて他の作業ができるような構造ではなく、ひたすらに研ぎ上げることに特化した形状です。
あれこれしたい時はマルチツールを、より細かい箇所を正確に研磨したい時は電気やすりを使用するといった具合に工具を使い分けることが重要です。
×デメリット2:商品のラインナップが少ない
電気やすりが欲しい!そう思って検索しても、思い通りに商品が出てこないのが現状です。
そもそものラインナップが少ないため、大手メーカーが販売している2、3機種が売れ筋商品として候補に挙がってきますが、逆に言えばそれを購入してしまえば間違いない、とも言えます。
他の電動工具は星の数ほど商品が存在し、実際に使用した感想や口コミ情報が散見し、どれを買えば良いか迷ってしまいがちです。
商品が少ないからこそ、密で有益な情報を得られやすい利点を活かし導入の決め手にして下さい。
まとめ
今回は電気やすりの基本的な情報や特徴、そしてメリットとデメリットを詳しく解説しました。
電気やすりが行える工程自体は他の電動工具でも出来ますが、より作業精度をあげるには電気やすりが最も適していると言えます。
また昨今のブームであるDIYには特に最適で、オリジナルで作成した木工細工のバリや面取りをする時に大活躍するでしょう。
錆びてしまった自転車の金属部分の錆び取り、草刈りカマや剪定バサミの研ぎ上げなど様々な用途に使用できるので、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。