梱包用エア釘打ち機とは、常圧の釘打ち機の中で用途を限定したモデルです。
取り扱いのあるメーカーはハイコーキやマックス。製品一覧で探すと「梱包用」のエア釘打ち機が見つかりますよ。
この用途を限定した梱包用エア釘打ち機の特徴、使用時の注意点、メリット・デメリットをご紹介します。
梱包用エア釘打ち機の特徴
梱包用エア釘打ち機の特徴は、一般的な常圧ロール釘打ち機より、梱包作業に適した高耐久モデル。
具体的には、釘打ちを多く必要とする木材パレットや梱包木箱の製作に適した仕様になっています。
そのため、高い速射性と高耐久性を備えており、釘の装填数も他のモデルより多い仕様です。
高い速射性
梱包用エア釘打ち機は、用途が梱包材の固定作業であるため、速射性が高くなっています。
梱包材の固定は、正確にキレイに打ち込むことよりも、確実に固定できることが求められます。
そのため、多少釘の打ち込み位置がズレていても、本数を打ち込むことでカバーできるように優れた速射性を備えています。
釘の装填数
梱包材の固定で多くの釘を消費するため、梱包用エア釘打ち機の装填数は、250本や300本と一般の釘打ち機より多いです。ただし、重量もその分だけ重くなります。
使用空気圧力
梱包用エア釘打ち機は、常圧であるため、空気圧力が高圧釘打ち機とは異なります。
モデルによって異なりますが、使用空気圧力はおよそ0.49 ~ 0.88MPa(5~9kgf/cm2)の範囲です。
高圧のエアツールを使っている場合は、エアコンプレッサーの空気圧力を使用可能な値に調整してから、接続するようにして下さい。
梱包用エア釘打ち機の用途
用途を梱包作業用としているため、主に使用する作業は2つ。梱包木箱と木材パレットの製作になります。
両方とも、正確に釘を打ち込むことよりも、輸送途中で壊れないことが重要視されます。
そのため、釘を多く装填でき、素早い連続打ちが可能な仕様になるわけです。
梱包木箱(梱包用木材)製作
主に海上輸送で、品物を保護するために使用される木箱です。
美術品や高級家具、医療機械など壊れやすい物も多いため、確実な梱包が求められます。
そのため、木材の固定には必要以上の釘を打ち込むのも普通にあるでしょう。
パレット製作
フォークリフトで物を運ぶ際、品物の下に敷くためのベース。プラスチックパレットが主流になっていますが、木板を釘打ちした木材パレットも多く使用されています。
木箱製作と同様に、木材パレットも壊れないことが最重要であり、木材の固定のため釘を多く打つ場合があります。
梱包用エア釘打ち機の使用釘
使用できる釘は、ワイヤ釘(平巻)が多いです。モデルによって使用する釘の長さが変わるため、使用する釘の長さと対応するモデルをチェックしておきましょう。
対応する釘の長さは、27・32・38・45・50・57・65・71・75(mm)の範囲です。
装填する釘で変形したものの使用は避けてください。釘詰まりの原因になります。
純正の釘が推奨されています。
梱包用エア釘打ち機の使用前の注意点
エアツールは使用前に注意することがいくつかあります。内容によっては、大けがにつながるものもあるため、必ずチェックしておきましょう。
どれもそれほど手間なくできるようなものばかりです。
空気圧の調整
空気圧の確認をして下さい。梱包用エア釘打ち機の使用可能な圧力の範囲になっていない時は調整をしましょう。目安は0.5~0.8MPa(約5~8kgf/cm2)です。
もし範囲内でない空気圧で梱包用エア釘打ち機に接続すると、内部構造が損傷や危険を生じる恐れがあります。
安全装置の点検
作業前に、釘打ち機の安全装置が作動するか必ず確認して下さい。
手順は以下の通りです。
- エア釘打ち機に釘が装填されていないことを確認する
- エアホースを接続する
- トリガだけを引く
- 次にトリガから指を離し、コンタクトアームを材料に押し当てる
もし、3か4のどちらかでエア釘打ち機が作動したら、安全装置が壊れています。使用しないで、メーカーに修理依頼をして下さい。
エア釘打ち機の打ち込み方について
エア釘打ち機には2通りの打ち込み方があります。それぞれ作業内容に合わせて、使い分けをすると効率が上がりますよ。
トリガ打ち
1つ目は、エア釘打ち機の先端、コンタクトアームを材料に押し当ててからトリガを引き、釘を打ち込む方法です。
この方法は、打ち込む場所を正確に狙ってから釘の打ち込みができるため、内装工事などに適しています。
コンタクト打ち
もう1つの方法は、速射で釘を打ち込む際に使用される方法です。
あらかじめトリガを引き、コンタクトアームを材料に当てます。すると、押し当てた段階で安全装置が解除されて、釘が打ち込まれます。
梱包用エア釘打ち機の場合は、コンタクト打ちのほうが多くなるでしょう。
※釘が無くなったことに気づかず、エア釘打ち機で打ち込み作業を続けると、材料を痛めるだけでなく、本機の耐久性を損ないますので、避けてください。
梱包用エア釘打の使用時の注意点
釘打ち機は釘を打ち出す工具のため、周りに配慮して使いましょう。怠ると自分だけでなく周りの人にケガをさせてしまう可能性もあります。
トリガに指をかけない
釘を打ち込む時以外トリガを振れないようにしましょう。指をかけていて、間違えて発射し思いもよらない事故になる場合があります。
絶対に人に向けない
釘を打ち出す発射口を絶対に人に向けないようにして下さい。安全装置があっても危険です。
保護メガネを装着する
梱包材の固定に特化しているとはいえ、木材の固い個所に打ち込むと釘や木片が跳ね返ってくる場合があります。
ケガを予防するため、保護メガネを着用しましょう。
作業を中断するときはエアホースを外す
作業場所を変えたり、中断したり、梱包用エア釘打ち機を持ち歩いたりする時は、エアホースを外し、トリガをロックしておきましょう。
梱包用エア釘打のメリット・デメリットを解説
ここからは、梱包用エア釘打ち機のメリット・デメリットを分けて簡単にご紹介します。
メリット
梱包用エア釘打ち機のメリットは、釘の装填数が多く、連射速度が速いことです。
作業量が多い現場では、他のエア釘打ち機と比べて、効率的に作業ができるでしょう。
デメリット
反対にデメリットは、梱包用に特化させている点です。ほかの作業に使いまわしが不向きなモデルといえるでしょう。
多目的に使えるモデルは、下地やツーバイフォー、スチールハウスなど用途が異なっても効率的に作業がこなせるでしょう。
しかし、梱包用エア釘打ち機は用途を限定していて、ほかの作業で使うと効率が落ちる場合があります。
まとめ
梱包用エア釘打ち機は、用途を特化させたモデル。釘の装填数が多く、多く釘を消費する梱包木箱やパレット製作を効率的にできる仕様です。
釘を打ち出す危険な工具であるため、使用前に空気圧の確認、調整と安全装置が作動するかなど点検作業を行うようにしましょう。