*今回の悩み人*
『高圧ビス打機を導入すると作業の効率が上がるらしいんだけど、実際にどんなメリットとデメリットがあるのかな?お値段もなかなするし購入を躊躇ってて…背中をポンと押してくれるようなキッカケが欲しい。』
今回の記事を読むとこんなことが分かります。
- 高圧ビス打機とは?基本的な基礎知識あれこれ
- 高圧ビス打機の具体的なメリットとデメリットについて
今回のお悩み人は高圧ビス打機の導入を検討している様子ですが、具体的にどんなメリットをもたらしてくれるのか、またデメリットはあるのかを気にされています。
確かにこの工具は安くても100,000円台のものが多いので、特徴や仕様をしっかり理解し自身の用途に合っているかを確認した上での導入が良いかと思います。
今回は高圧ビス打機についての基礎知識やメリットとデメリットを詳しくご紹介します。
そもそも高圧ビス打機ってなんですか?
ここでは初心者に向けた当工具の基本的な特徴を簡単にご紹介していきます。
基礎は知っているから早くメリットデメリットを教えて欲しい!という方は次の項目にスキップしてくださいね。
特徴① 高圧タイプと常圧タイプに分かれる
ビス打機と一口に言っても大きく分けて2種類のタイプに分類され、そこから作業に適したタイプを選択して使用します。
高圧と常圧の違いや特徴を下記にまとめてみました。
名称 | 主な用途と特徴 |
---|---|
高圧タイプ | 高圧のハイパワーでビスを打ち込むことが出来る。 一部の長いビスは高圧ビス打機を使用しないと打ち込むことが出来ないため、プロの間では高圧タイプが主流となっている。 空気圧は1.2~2.3MPa(12~23kgf/cm2)で用いられる。 |
常圧タイプ | エアーの消費量が少ないため長時間の作業向いている。 高圧が現場の第一線で活躍する事に対して常圧は、簡単なビス打ちなどのDIY向き工具と言える。 空気圧は0.1~0.83Mpa(約1~8.5Kgf ⁄ cm²)で用いられる。 |
??『安全面と最大パフォーマンスを発揮するために、必ず各圧力に対応した専用のエアーコンプレッサーを用意しようね!エアーホースも各タイプの専用品を使わないと破れたりして危険だから要注意だね。』
特徴② 様々な長さのビスを打ち込める
高圧ビス打機はそれぞれの機種で使用できるビスの長さが設定されており、32mmビスに対応できるタイプや最大で51mmまで使用できるものも用意されております。
??『全ての機種が32〜51mmを打ち込めるわけじゃないから選ぶときは注意してね!自分の作業で使うビスが使えるかどうかしっかりと確認しないといけないね。』
このように対応しているビスをしっかり確認する事が重要になってくるのですが、基本的に対応パターンが3種類あります。
28〜51mm対応機種
このタイプはたくさんあるわけではなく、マックス社のHV-R51G1-Gという機種のみとなります。
基本的に51mmを打ち込みたい場合はこの機種一択となります。
25〜41mm対応機種
このタイプはどのメーカーでもスタンダードと言える主流機種であり、高圧から常圧まで充実したラインナップとなっているので、重量や付加機能など気に入ったものを選びましょう。
25〜31mm対応機種
のタイプは比較的短いビスを打ち込むことに特化しており、小型化した機種が多く、持ち運びにも便利なコンパクトタイプが主流となっております。
長いビスを打つ事は無いけど、長時間の作業をする場合はこちらがオススメです。
特徴③ 特徴的な専用ビスを使用する
高圧ビス打機はコイル状に束ねられたものを使用し、1コイルあたり100本のビスが連なっており、これをビス打機本体のマガジンに装填して使用します。
石膏ボード取り付けには『 DTSN』という規格があり、法で定められた基準をしっかり守らなければいけません。
DTSNとは建築基準法の各種基準を満たすための規格のことであり、規格の詳しい内容は以下の通りです。
- 呼び径…4.2mm以上
- ビスの長さ…30mm以上
- 頭部の形状…トランペット
DTSN規格のビスは太くて長いので機種によってはしっかり打ち込めない場合がありますが、業務では必ずDTSN規格に適合したビスを使用してください。
具体的なメリット・デメリットを解説!
ここからは当工具のメリット・デメリットを解説していきたいと思います。
まずは一覧にするとこんな感じです。
- 現代建築の象徴『スピード感』を重視した動作感
- 便利な付加機能がたくさん!
- バッテリーを気にせず常時ハイパワーで作業可能
- 大手メーカーが製造しておりサポートも万全
- 作業者以外にも安全性の徹底を求められる
- しっかり扱わないと他人を傷つけてしまう
◯メリット1:現代建築の象徴『スピード感』を重視した動作感
現代の建築作業において最も重要とされる要素の一つに『作業のスピード』があります。
素早く丁寧に仕上げることは作業を請け負った施工会社の評価にもつながるので、できる限りスピーディーに作業をこなす必要があります。
??『工期短縮は顧客満足度や近隣住民の不満解消だけじゃなく、人材や重機なんかの経費削減にも繋がるし良いことだらけなんだって!』
高圧ビス打機は持ち前のパワーと連続的に打ち込める高レスポンス、そして単発・連続を切り替えることで迅速に工程を進めることが可能になります。
◯メリット2:便利な付加機能がたくさん!
高圧ビス打機には他の工具に搭載されていそうでされていない便利な付加機能がたくさんあります。
ここでは便利な付加機能の一部をご紹介します。
機能 | 機能説明 |
---|---|
ネジ残量お知らせ | ネジの残量が残り少なくなった事を本体が検知してお知らせしてくれる機能。 |
エアダスター | 作業時に出た粉塵や削り粉を吹き飛ばす事ができるので何かと便利な機能。 |
カムアウト軽減機能 | ビスを締め込む時に、負荷が掛かる事が原因でビットがネジ頭から外れる『カムアウト』を軽減してくれる機能。 |
簡単ビット交換 | 先端工具(ビット)交換の際、本体を分解しなくても簡単に取り替えることが出来る機能。 |
単発/連続打ち切替 | トリガーを引くタイミングを変えるだけで単発打ち・連続打ちを切り替えることが出来る機能。(通常はスイッチやレバーを操作する) |
??『痒いところに手が届くって感じ!長年の経験から培ったメーカーのノウハウや技術力を上手に工具に落とし込んでるのは努力の賜物だね。』
◯メリット3:バッテリーを気にせず常時ハイパワーで作業可能
高圧ビス打機は圧縮した空気を使用するエアーツールなので、コンセントの位置やバッテリーパックの残量を気にする事なく作業することができます。
エアーコンプレッサーを使用するための電源こそ必要ですが、コンプレッサーにも充電式のものがありますのでさっと持ち出してすぐ使用する事が出来ます。
常時安定した空気量が供給できれば、ハイパワーを維持したまま作業をする事ができるので、電動工具に見られる電池切れやパワー不足問題を解消することが出来ます。
◯メリット4:大手メーカーが製造しておりサポートも万全
著者の父の趣味は工具集めで、たまに聞いたことのない外国産メーカーの格安電動工具を購入しては自慢をしてきます。
無名メーカー品は数日〜数ヶ月で故障する事が多く、返品や交換をしようにも音信不通であったり意味不明な日本語文のメールが送られてくるだけ、という事が日常的なので素直に大手メーカー品を購入しましょう。
??『海外にも良メーカーがたくさんあるけど、無名メーカーだとちょっと不安というか対応が悪かったりするね…てか親父さん、ちゃんとしたメーカー品買おうよ…』
主流となる高圧ビス打機のほとんどは大手メーカー産であり、その中で人気の機種を選べば間違いありません。
大手メーカーであれば、販売代理店や直営店のアフターフォローも万全の体制を取っており、困ったことがあれば持ち込んで相談を聞いてくれたり修理もしてくれます。
×デメリット1 :作業者以外にも安全性の徹底を求められる
工具を使用している本人に対する注意喚起はどの工具にも必ずあるのですが、ビス打機は使用者だけでなく周りの人にも細心の注意を払わなくてはいけません。
なぜかというと、ビスを打っている最中に何らかの不具合が生じ、ビスやビスを固定しているプラスチックパーツが勢いよく飛び散り、使用者だけでなく周りにいる人にも危害が加わる可能性があります。
そんなに飛ぶの?と思いがちですが高圧を使用している為に飛び散った際のパワーも半端ではありません。
使用者はもちろん、周りの人にもヘルメットや保護メガネの着用を呼びかけると共に、不要なモノは片付けて作業周りを常に整頓しておくと物が壊れる等の二次災害も起きづらいのでオススメです。
×デメリット2:しっかり扱わないと他人を傷つけてしまう
電動工具の大半は銃のようなデザインをしており、人差し指に当たるスイッチトリガーを引くことで動作するものがほとんどです。
つまり銃の形をしているということは撃つつもりはないけどふざけたりして人に向ける動作をする方が、悲しい事に一定数います。
高圧を使用している当工具は、威力も危険度も銃と同等か、手に取り易さを考えると銃以上に危険かもしれません。
本当に打たないから大丈夫ではなく、人には絶対に向けてはいけませんし、万が一誤作動でビスが発射されれば大怪我では済みません。
また材料を挟んで向かい合いながらの作業中、誤って反対側の作業者にビスが当たった事例もあるので取扱には十分注意しましょう。
まとめ
今回は高圧ビス打機の基本的な情報とメリットとデメリットを詳しく解説しました。
高圧をハイパワーを活かしてスピーディーな作業を得意としているので、ビスを効率よく打ち込む作業に最適な工具であることがお分かりいただけたかと思います。
しかし取扱いには十分注意しないと思わぬ事故や怪我のリスクも潜んでおり、工具の特徴や仕様をしっかり理解した上で使用する事が重要であると言えます。
取り扱いに不安がある人は、お近くのホームセンターやメーカー直営店で定期的に行われている取扱講習会に参加することで、工具のプロが使用方法を丁寧に教えてくれるのでオススメです。
工具に興味があるけど一歩踏み出せない、という方もまずは講習会や展示会に参加してみて、気になった物があれば導入を検討してみてはいかがでしょうか。