本機は離れた場所から物体の温度を測る事が出来る優れモノです。しかし、真っ白な物や光るもの、透明な物のでは光学的に測っているので正確では無い可能性があるのです。
最近では需要が増えているようですが、正しい使用方法と言うのはそれ程理解されていないようです。
そこで今回は放射温度計とは何なのか。そして特徴と使い方を見ていきます。是非、最後までご覧ください。
放射温度計とは?
手のひらを頬等に近づけると暖かく感じますね?これは人の手のひらから赤外線が出ており、皮膚がそれを感知している為です。
上記の例のように、物体と言うものは赤外線を出しています。物体の温度が高温な程、強い赤外線を出しています。
本機はこの放射エネルギーの量を測って物質の温度を求めているのです。
放射温度計の特徴
本機を使用すれば、熱くて触れないものの温度を簡単に測定できます。
モーターやトランスなどの電気工事関係はもちろん、窯炉や薪ストーブの温度を測る際にも使用可能です。また、料理の際の鍋の温度や食材の温度を測る際にも使用できます。
移動や回転する物体及びセンサーを接触する事により表面温度が変わってしまうような小熱容量物体の温度を測る際にも有効です。
- 赤外線放射を、温度を測る際に利用するので測温抵抗体、熱電対と比較し応答の速度が早いです。動いている物体の温度を測る事も可能です。
- 熱容量の小さい物体や熱伝導率の小さな物体、面積の微小な物体の温度測定が可能です。
- 危険なため近づく事が出来ない場所や遠方から、食品衛生上管理の必要な箇所も適しています。
- 研磨された金属のような反射率の高い物体の測定には適していません。
- より正確な結果を求めるためには、物体によって放射率を設定する必要があります。
- 対象物質の内部の温度を測定する事は不可能です。
短時間で温度測定ができる、実際に物体に触れないで出来る、当該物体のそばに近づけない場合でも出来るなど便利な特徴を有しています。
難しい言葉や単語が数多く出て来ていますが、落ち着いて読んでいただけば、それ程難しい事は言っておりませんのでご安心ください。
放射率とは
赤外線の量は温度が同一のでも、当該物の材質や表面の状態によって異なります。
本機を使用し温度を正確に測定する場合は、当該物によりこの放射割合を正しく調整しなければなりません。この割合の事を「放射率」と言います。
放射率は物体に依存する定数で黒体は1、完全に赤外線を反射・浸透するものに関しては0となります。つまり全ての物体の放射率は0~1の間と言う事になります。
物体の表面に光が入射すると、そのエネルギーは吸収されるか、透過するかに分かれます。
入射したエネルギーと吸収率と反射率、透過率の合計とイコールになります。また、吸収率=放射率となります。
以上の事から物体に入射したエネルギーの吸収率が高いほど放射率も高くなると言う事になります。
放射温度計の使い方
使い方
本機の使い方は非常に簡単です。まずは、測定したい場所に赤外線の照射部分を向けてレーザーポインターを測定したい場所に当てます。
そして、トリガーを握り測定完了です。この間僅か約0.5秒です。
放射温度計使用時のポイント
放射率の設定
設定した放射率が実際の当該物体の固有の放射率と異なると、測定誤差の要因となります。
放射率と物体の温度は比例している訳ではありませんので、異なる条件下で測定した温度を後から修正したり補正する事は不可能です。
スポット径と測定する物体の関係
安定して物体の温度測定を行う為にスポット径の1.5倍程度が当該物体に収まるようにしましょう。
高温測定時の注意
高温の物体を測定する場合は当該物体からの赤外線の影響で本体が熱せられてしまい、正確に測る事が出来なくなってしまい本体の破損に繋がってしまう場合があります。
このような場合はアルミなどの遮蔽版を使用し、必要な赤外線以外を遮断してください。
使い方自体は簡単ですが、正確に測定する為の設定などは気を使う必要がありそうですね。
放射温度計で計測可能な物
基本的に表面が露出しているものであれば、測る事が出来ます。
- 冷蔵庫・冷凍庫の冷え具合の確認
- エアコンの風温
- 部屋の温度
- 揚げ物の油温
- ミルクの水温
- フライパンの表面温度
- タイヤやブレーキの表面温度
- パン製造時の温度
- 窯炉内部の温度
料理を作る時に温度を測る際は温度計が汚れる心配もありませんし、衛生的にも安心です。
また、自動車やオートバイの調整には、高温部に温度計を差し出す必要もないので安全です。
放射温度計で測りにくいもの
水蒸気、冷気などが大量に存在している物体の場合、赤外線が吸収されて温度を低く読む事があります。
このような障害物がある物の温度測定には不向きです。
まとめ
今回は放射温度計とは何なのか。そして特徴と使い方を見て参りました。いかがでしょうか。
本機は簡便で本体も小さく使い勝手も良いので重宝するでしょう。
使用場所も本文で挙げた以外でもビールサーバーやオーバーヒートしてしまった自動車の詰まっている箇所の調査等、非常に広い範囲で使う事が出来そうです。
本機は学べば学ぶほど面白いです。より正確に温度測定をされたい方は。本体の構造や種類など詳しく勉強し、あなたに合った機種を選択し使用してみましょう。