放射温度計とは、物体から放出している赤外線や可視光線の強さを測定して、物体の温度を測る測定器の事を言います。
移動する物体や熱伝導率の悪い物体、非常に小さい物体、高温で近づく事が出来ない場所での温度測定に最適です。
今回はこの放射温度計のシチュエーション別の活用法を見ていきます。是非、最後までご覧ください。
電気・電子の現場にて
家電製品の内部温度の確認
家電製品の断熱や内部温度異常の際は外部から測定する事は簡単ではありません。
放射温度計を使用すれば、面倒なセッティングや分解をしなくても、非接触で素早く測定する事ができます。
電子部品の発熱量の確認
電子部品の異常発熱に気付かず製品を組み立てると製品自体の故障に繋がる危険性があります。
そのような時に放射温度計を使えば、通電時の各部品の温度を測定して、不良品や故障で発生する異常発熱を確認する事ができます。
スポットタイプの放射温度計であれば基盤に実装されている微小な電子部品でも想定可能です。
複写機の発熱確認
複写機内部に異常加熱が発生した場合、機械の故障に繋がったり、発熱箇所に触れてしまったりして、火傷をする危険性があります。
放射温度計を使用すれば、非接触で素早く発熱する可能性のある箇所の温度測定が可能なので、定期的な測定で、突発的な故障を未然に防いだり、万一、異常が発生した場合でも素早く異常箇所の特定が出来ます。
空調機の温度確認
空調機を出荷する際、性能確認で多くの製品の試験を行うため、短時間で測定をしたいものです。このような時に放射温度計を使用すれば、非接触で瞬時に測定でき、効率的な試験が可能です。
自動車関連の現場にて
自動車の塗装工程の温度管理
自動車の生産ラインで、塗装工程は塗装の種類により乾燥温度が変化します。その為、その流れるラインの適切な温度管理をする必要があります。
そのような場合に、放射温度計があれば、ボディに触れる事無く温度の測定が可能で、最適な温度と時間になるように制御し、品質向上に繋がります。
タイヤの耐久試験
自動車の点検や製造時の試験中にタイヤの摩擦熱及び耐久値を測定する場合、タイヤは常時回転していますので、従来の接触式の温度計では測定不可能です。
このような場合放射温度計を使用すれば、試験中の温度変化をチェックする事が出来、測定速度も速いので一瞬の温度変化も見逃さずに検査可能です。
建築関係の現場にて
生コンクリートの温度測定
生コンクリートを練り込んでいる最中はミキサーが常時回転しており、接触式の温度計では温度測定を行う事は難しいです。
しかし、測定速度の速い放射温度計を使用すれば、温度測定が出来るようになり、コンクリートの品質向上に繋がります。
アスファルト舗装時の温度チェック
アスファルト舗装時に、タイヤローラー転圧をかける際にはアスファルトの温度で塗装の品質が決まるため、一瞬で温度測定をしながら作業をしなければなりません。
アスファルトを敷いた後、放射温度計を使用して温度を測定し。適正温度を確認し、タイヤローラー転圧をかける事により仕上がりや耐久性が向上します。
食品関係の現場にて
雨や蒲鉾などの温度管理
練り工程の際はミキサーが回転しているので、接触式の温度計では、温度を測定する事が出来ません。
このような時に放射温度計を使用すれば、非接触で温度測定する事が出来、品質の向上に繋がります。また、非接触ですので衛生上も安心です。
酒、味噌、醬油等の温度管理
これらの食品を製造する際は発酵時の温度が商品の品質を左右します。そのため、この温度を正確に測定したいものです。
そのような時には放射温度計で発酵温度を管理する事により味や香り等の品質向上に繋がります。
放射温度計を使用すれば、商品に触れる事無く衛生的に温度測定する事が出来ます。
クッキー、パン等の温度管理
これらの食品を製造する際、生焼けや加熱のし過ぎを防ぐため、1つ1つの商品の温度測定を実施するのが、確実な方法です。
そのような時に放射温度計を使用すれば、非接触で衛生的に記事の冷却やオーブンでの焼き上げ等の各工程での温度管理する事が出来品質向上に繋がります。
お茶等の焙煎工程時の温度管理
焙煎中はロースターが回転しているので接触式の温度計では温度を測定できません。
放射温度計を使用すれば、焙煎工程中の温度を非接触で常に測定出来ます。種類による焙煎温度及び焙煎時間を確実に管理する事が出来、品質向上が可能です。
ゴム・樹脂関係の現場にて
ゴム練り工程での温度管理
ゴムの練り工程はゴムに可塑性を持たせる大事な工程になります。温度を管理出来れば品質向上に繋がります。
しかし、練り工程中はミキサーが回転しているので、接触式の温度計では測定する事が出来ません。
しかし、放射温度計を用いれば、非接触で回転している温度を測る事が出来、品質向上が可能です。
タイヤの生産工程での温度管理
タイヤの圧縮成型工程では、加熱時間や温度で耐久性が大きく変わってきます。温度管理をする事で品質が向上し、製品が均質化します。
このような場合も放射温度計を使用すれば、非接触で離れた場所から温度測定をする事が出来ます。加工時間の最適化で、品質一定化と効率化に繋がります。
射出成型時の温度確認
樹脂成型では、材料となる樹脂の温度と加工温度により品質が大いに左右されてしまうので、最適な温度か否かの測定を実施したいところです。
このような時に放射温度計を使用し、加工直後の成型物の温度を非接触で瞬時に測定する事で品質の向上が可能です。
設備保全の現場にて
配管の表面温度確認
工場内の広い範囲に設置されている配管の温度の異常加熱や冷結等の確認に、簡単に測定出来れば事故の未然防止に繋がります。
そのような時にも放射温度計を使用すれば、配管の異常温度をスポットで確認できるので、老朽化している場所の特定が出来、事故の発生を未然に防ぐ事が出来ます。
電気設備の異常温度確認
電気設備の異常加熱が起こると設備の停止や火災などの事故に繋がるかのうせいがあるので、異常加熱は早期に検出しなければなりません。
定期的に放射温度計を使用すれば、漏電による故障及び工場火災を未然に防ぐ事が出来ます。非接触ですから感電の心配もありません。
まとめ
今回は放射温度計のシチュエーション別の活用法を見て参りました。いかがでしたでしょうか？
放射温度計には様々なタイプがあり、その利用方法によって異常を瞬時に察知したり、生産性の向上に繋がったりするなどメリットが沢山あります。
近年では放射温度計も比較的購入しやすくなっています。今まで使用していなかった方も、この機会に購入を検討してみてはいかがでしょうか。
