*今回の悩み人*
『仕事柄ビスやネジを打ち込む機会が多くてさ、もっと効率よく作業出来たら嬉しいんだけど、なんかいい工具無いかな?ちなみに硬い材料を扱うからパワーがあるヤツが良いなぁ。』
今回の記事を読むとこんなことが分かります。
- 高圧ビス打機とは?基本的な基礎知識や特徴について
- 高圧ビス打機の具体的な使用法や注意点とは
お仕事の関係でビス打ちを頻繁に行う今回のお悩み人さんですが、より便利でハイパワーな工具を導入し作業効率を上げたい様子です。
ビス打ち機とはどのように使うのか、そしてよりパワーが求められる現場に対応できる工具は存在するのでしょうか…?
今回は高圧ビス打機についての基礎知識と、具体的な使用方法を詳しく解説していきます。
そもそもビス打機って何ですか?
通常のビス打ち機とは、ビスを打ち込み締め付けることが出来るエアーツールの一種です。
そのビス打機をより高圧に対応させたハイパワータイプのものが今回ご紹介する『高圧ビス打機』になります。
??『ビス(ネジ)を打ち込みながら締め付けもできる優れものなんだよね。人によってはネジ打ち機とかターボドライバなんて呼んだりするね。』
通常タイプと違い高圧を使用するため、本体を材料に押し当てるだけで素早くビスを打ち込めます。
そのため床や壁、天井などにボードを取り付ける作業に適しています。
高圧ビス打機の特徴を解説!
ここでは高圧ビス打機の主な特徴をご紹介していきます。どんな工具なのかを理解する事で、難しい加工も簡単にこなせるようになります。
特徴①コイル状に連結した専用ビスを使用する
タッカーはコの字型のステープルを装填して使用しますが、ビス打機は専用のビスマガジンを装填して作業をします。
??『映画に出てくる機関銃に使う弾みたいに、帯状ロール型の専用ビスを装着して使用するよ!スイッチもトリガータイプだし、電動工具って銃に似た形が多いよね。』
1コイルあたり100本のビスが連なっており、ビス打機本体のマガジンに装填して使用します。
なお、石膏ボード取り付けには『 DTSN』という規格があり、法で定められた基準をしっかり守らなければいけません。
・呼び径…4.2mm以上
・ビスの長さ…30mm以上
・頭部の形状…トランペット
このように、DTSN規格のビスは太くて長いので機種によってはしっかり打ち込めない場合がありますが、業務では必ずDTSN規格に適合したビスを使用してください。
特徴② 高圧タイプと常圧タイプに分かれる
ビス打機と一口に言っても大きく分けて2種類のタイプに分類され、そこから作業に適したタイプを選ぶことで作業の効率を最大限に上げる事が出来ます。
??『高圧はパワータイプだってなんとなく想像できるけど、常圧ってどういう特徴があるのかな…?この2つの違いをわかりやすく教えて!』
高圧と常圧の違いや特徴を下記にまとめてみました。
名称 | 主な用途と特徴 |
---|---|
高圧タイプ | 多くの空気を圧縮した高圧を使用するためハイパワーでビスを打ち込むことが出来る。 一部の長いビスは高圧ビス打機を使用しないと打ち込むことが出来ないため、プロの間では高圧タイプが主流となっている。 空気圧は1.2~2.3MPa(12~23kgf/cm2)で用いられる。 見た目が常圧タイプとほとんど変わらない為、使用するときはしっかりと確認すること。 価格は¥100,000〜と高額なものが多い。 |
常圧タイプ | 高圧タイプと比べるとパワーは劣るが、その分エアーの消費量が少ないため長時間の作業に向いている。 高圧が現場の第一線で活躍する事に対して常圧は、簡単なビス打ちなどのDIY向き工具と言える。 空気圧は0.1~0.83Mpa(約1~8.5Kgf ⁄ cm²)で用いられる。 必ず常圧用のコンプレッサーを用意して使用すること。 こちらも¥100,000〜と高額なものが多い。 |
??『安全面と最大パフォーマンスを発揮するために、必ず各圧力に対応した専用のエアーコンプレッサーを用意しようね!エアーホースも各タイプの専用品を使わないと破れたりして危険だから要注意だね。』
特徴③取り回しの良い電動タイプもある
一般的なビス打機の多くはエアーツールなので、圧力に適したエアーコンプレッサーを用意しなければ使用できません。
しかし最近では電動タイプの機種も登場し、より快適に作業をする事ができるようになりました。
エアータイプは専用のコンプレッサーに加え接続するホースも高圧専用のものを用意する必要があり、どうしても初期投資と準備に時間を要します。
電動タイプであれば、普段から愛用しているメーカーのものを購入することでバッテリーを使い回すことが出来るため、本体を購入するだけで即座に作業が出来ます。
特徴④便利な機能がたくさん搭載されている
作業をしていると、普段とは違う視点で物事を考えることが出来るため、より良い環境で、より効率的に作業をするようになります。
- この工具にこんな機能があれば…
- もっと簡単に分解できれば…
- あとちょっと先端が長ければ…
ビス打機は、長年の経験から培ったメーカーのノウハウや技術力が上手に工具に落とし込まれており、痒い所に手が届くような進化をしています。
ここではビス打機の便利な付加機能の一部をご紹介します。
機能 | 機能説明 |
---|---|
ネジ残量お知らせ | ネジの残量が残り少なくなった事を本体が検知してお知らせしてくれる機能。 |
エアダスター | 作業時に出た粉塵や削り粉を吹き飛ばす事ができるので何かと便利な機能。 |
カムアウト軽減機能 | ビスを締め込む時に、負荷が掛かる事が原因でビットがネジ頭から外れる『カムアウト』を軽減してくれる機能。 |
簡単ビット交換 | 先端工具(ビット)交換の際、本体を分解しなくても簡単に取り替えることが出来る機能。 |
単発/連続打ち切替 | トリガーを引くタイミングを変えるだけで単発打ち・連続打ちを切り替えることが出来る機能。(通常はスイッチやレバーを操作する) |
・間違えやすい釘打ち機との違いとは?
よくビス打機と混同される工具で有名なのが『釘打ち機』と呼ばれるものです。
釘打ち機はその名の通り、対象材に釘を打ち込む工具で、ビス打機同様エアーコンプレッサーに接続して使用します。
最大の違いは留め具を回転方向、垂直方向のどちらに打ち込めるのかという点です。
- ビス打機:打ち込んだ後、締め付ける(回転)
- 釘打ち機:打ち込んで作業完了(垂直)
また、構造が似ているからと言ってビスと釘を兼用して使うことは出来ないので、それぞれの工具に合った留め具を用意しましょう。
具体的な使い方解説!
ここからは高圧ビス打機の使い方を解説していきたいと思います。
作業前の準備:ビスを装填する
高圧ビス打機を使用する際、いくつか注意することがあるのでまとめてみました。
①ビスを装填する前にエアーホースを接続して以下の動作を確認する
- エアーホースを接続しただけで本体が作動しないか?
- 本体やホースからエア漏れ及び異常音がしないか?
- これらの不具合が確認できたときは使用を止め、販売店やメーカー営業所に持ち込み様子を見てもらいましょう。
②ビスを装填するときは必ずエアーホースを取り外して行う。
- ホースを取り付けて動作や安全を確認後、外した状態でビス装填、再度ホース取り付けといった具合に、ひと手間をかける必要があります。
※本体にビスを装填する時は、絶対にエアホースを外してから行いましょう。万が一動作した時に大きな事故の恐れがあります。
また、マガジンにビスを入れる時も注意が必要です。
- マガジンにビスを入れ、 先頭のビスをドライバガイドまで出してマガジンキャップを閉じます。
- 本体のフィーディングクローと呼ばれるビス送り爪部にビスが完全にセットされた事を確認し、先頭のビスを通路に入れます。
本体のビットがドライバガイドまで降りている為にビスがセット出来ない場合があります。その場合はドライバガイドが上を向くような逆さま状態にする事でビットの位置を修正する事が出来ます。
対象物にビスを打ち込む
ビスを打ち込むには、打ち込み対象物にコンタクトアームの先端を軽く押し当て、スイッチトリガーを引きます。
この時、モーターの回転が止まるまではトリガーを離さないよう注意しましょう。
??『打ち込む工程自体は至ってシンプルなんだけど、作業時の注意点が結構多いからまとめてみたよ!』
- 定められた空気圧(1.76 ~ 2.26MPa )を必ず守って使用する事。
- 一回打ち込んだビスの上に再度ビスを打ち込んだりしない事。
- ビス打機は十分な押し付け力が必要であり、押し付け力が足りないとビス浮きやカムアウトが起きやすくなるので射出口の先端を必ず対象物に直角に押し当てて打ち込む事。(単発打ちがオススメ)
- ビスを打ち込んだ後、トリガを早く離してしまうとビス浮きやビス送り不良の原因となるので注意しましょう。
単発打ち・連続打ちを使い分ける
単発打ち、連続打ちを使い分けることで、作業の効率を向上させることが出来るため、それぞれ工程や用途に応じて使い分けましょう。
単発打ちとは…ビスを打ち込みたい対象に、コンタクトアームを押し当てながらトリガーを引くことでビスを一本ずつ打つ事が出来るので、正確に打ち込みたい箇所に適しています。
連続打ちとは…トリガーを引いたまま対象物にコンタクトアームを押し当てる事を繰り返す動作で、ビスを連続的に打ち込むことが出来るため、仕上がりの見た目より数を打ち込みたい箇所に適しています。
使用上の注意点とは?
ここまでの内容をご覧になり、高圧ビス打機がどんな工具なのかなんとなくご理解頂けたでしょうか。
??『うーん…すごく便利な反面、扱い方を間違えると危なそうなイメージって感じね。使用上の注意点とか、やっちゃいけない事を詳しく教えて欲しいな。』
ここでは取り扱う上での具体的な注意点をご紹介します。
必ず保護メガネおよびヘルメットを着用する
ビスを連結しているプラスチックや打ち損じたビスなどが飛んで来る恐れがあるので、作業者だけでなく周りにいる人にも保護メガネやヘルメットを着用させる事を徹底しましょう。
防音保護具を着用する
ビスを打ち込む際に出る発射音や排気エアから耳を保護するため、防音保護具(耳栓やイヤーマフ等)を装着しましょう。
工具に適したビスを使用する
指定品以外を使用すると、本体の故障やビス詰まりの原因になったり、大きな怪我の原因、さらには施工に関わる重大な欠陥になる場合があるため素直に指定品を使用しましょう。
指定のビス以外のものを使用するメリットは全くと言っていいほどありません。
定められた空気使用圧力内での作業を徹底する
空気圧は工具毎に定められた範囲内で使用してください。最大値を越えた圧力で使用すると本体の破損だけでなく、重大な怪我や事故のリスクがあり大変危険です。
まとめ
今回は高圧ビス打機の特徴や使い方を詳しく解説しました。
通常のビス打機と違い、パワーを活かして硬い材質や石膏ボードへ素早くビス打ちが可能になりとても便利な工具である事がお分かり頂けたかと思います。
一部の長いビスは高圧タイプでしか打ち込めないため、プロの中では高圧タイプが主流であり最も使用されております。
ちなみにDIYで簡単な工作をする場合は高圧タイプを用意するまでも無いので、常圧タイプを用意しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。この記事があなたの工具選びの参考になれば幸いです。