レーザー墨出し器のメリット、デメリットを徹底解説

レーザー墨出し器のメリット、デメリットを徹底解説

墨を使わずに、正確な光のラインを出してくれるレーザー墨出し器はとても便利です。

ですが、すべての建築現場で使える万能工具というわけではありません。レーザー墨出し器にはいくつかのタイプがあり、向き不向きがあります。

前半で、レーザー墨出し器の2つのタイプ、ぞれぞれのメリット、デメリットを説明して、続いて機能別でメリット、デメリットをご紹介します。

電子整準方式とジンバル式

コンクリートにレーザーを当てている様子

多少傾斜した地面でも、問題なくレーザー墨出し器は水平にレーザーを照射します。ですが、この工具から照射されるレーザーの水平はどのように保たれているのでしょうか。

レーザー墨出し器には、

  • ジンバル式(振り子式・マグネットダンパー式)
  • 電子整準方式(センサー式・電子ジンバル式)

この2つのタイプがあり、それぞれ別の方法で水平を維持、レーザー照射をしています。この2タイプは本体の構造が大きく違います。

ジンバル式

ジンバル式の呼び名はいくつかあり、振り子式、マグネットダンパー式など、メーカーよって呼び方が違います。

構造はその名前にある通り、工具の中に振り子が入っており、重力に引かれて振り子が常に地面に向かって、下を向くようになっています。この方法でレーザーの水平を保っています。

ジンバル式のメリット

まずは内部構造がシンプル。そのため、本体代が電子整準方式に比べて安い傾向があります。

加えて、振り子で水平を保っているため、温度や気圧の外部環境の影響を受けにくいという特徴があります。

ジンバル式のデメリット

振り子で水平を保っているということは、振動を与えると簡単に振り子が揺れて、水平の基準がズレます。

そのため、照射されるレーザーの光のラインが上下にブレます。これがジンバル式の大きなデメリットです。

現場が高層ビル、または周りで重機が頻繁に作業、走るなどの振動が多いところでは、レーザーがブレ続けます。そのため、正確で水平なラインが照射できません。

さらに振り子の部分が動くということは、可動部分があるということです。この可動部分のベアリングの消耗、ゴミやさびで水平バランスが狂いやすいというデメリットもあります。

電子整準方式(センサー式・電子ジンバル式)

ジンバル式とは違い、電子整準方式はセンサーで傾きを感知、傾きを自動的に修正して、水平にする仕組みを持つレーザー墨出し器です。

電子整準方式のメリット

電子整準方式は、ジンバル式のように振動で動くところがないため、振動の多い工事現場でも揺れることなく、水平なレーザーを照射できます。

ジンバル式と比べて、ベアリングなどの消耗がないため故障しにくいというメリットもあります。

電子整準方式のデメリット

電子整準方式は搭載されたセンサーで水平を保っています。センサー内は液体で満たされ、その中に気泡があり、気泡の位置で水平の基準を決めています。

問題はこの液体が周りの気温と気圧で影響をうけ、気泡の位置が変化するということです。

そのため、気泡の位置がズレると、水平の基準もズレが発生するという問題が起きます。これが電子整準方式のデメリットです。

最初に電子整準方式は水平位置を自動調整してくれるということ説明しました。

この自動調整については、調整完了までに時間が必要で、ジンバル式に比べると調整までに時間が掛かるというデメリットもあります。

加えて、価格がジンバル式と比較すると高い傾向にあります。


レーザー墨出し器の機能別メリット、デメリット

メリットデメリット

ここからは電子整準方式とジンバル式関係なく、レーザー墨出し器の機能別メリット、デメリットをご紹介します。

自動追尾機能付きモデル

レーザー墨出し器には受光器に合わせて、自動でレーザーを照射する追尾機能を搭載したモデルがあります。

リモコンで操作が可能で、微調整のため本体を何度も動かさなくてもよい便利な機能です。

メリットは省人化と作業時間の短縮

このモデルはリモコンと、受光器がセットになっており、ボタン一つでレーザー墨出し器が受光器に向けてレーザー照射します。

この機能をうまく使えば、今までは2人で行っていた基礎墨出し作業、間仕切り墨出し作業などを1人で行うことができます。




デメリットは値段

メーカーによってバラバラですが自動追尾機能付きのモデルは、付いてないものに比べると値段が高額になります。

例えば、有名な工具メーカーマキタから販売されているレーザー墨出しを比較します。

追尾機能が付いていないモデル「SK20GD(標準小売価格 75,000円)」と、追尾機能付きのモデル「SK210GDZ(標準小売価格 220,000円」、その価格差は145,000円です。

自動でレーザー照射してくれるのはとても便利です。しかし、この価格差をどう考えるかは担当する作業現場によって意見が分かれるでしょう。

レーザー光の色

緑色のレーザー

一般的にレーザーの色は赤色が多いイメージがあります。しかし、レーザー墨出し器は緑色のグリーンレーザーを照射するモデルが多数あります。

メリットは視認性の良さ

作業現場が薄暗いところでは、レーザーの色がどちらであっても、さほど違いはありません。

ですが、明るい作業現場では赤色より緑色のレーザーのほうが見やすいです。そのため、色はグリーンレーザーが好まれています。

ただし、屋外の直射日光のあたる現場では、レーザーは色に関係なくほとんど見えません。

デメリットは低温で照射不可

グリーンレーザーは視認性が良いですが、低温に弱いというデメリットがあります。

レーザーの照射方法が波長変換式から、より低温で使用可能なダイレクト方式になっていますが、それでも低温には弱い特徴があります。

特に冬場の屋外作業で氷点下になった場合は、メーカーによっては照射不可の状態になります。メーカーごとの使用温度範囲の具体例としては、

  • タジマ(-5℃~40℃)
  • マックス(-10℃~50℃)
  • マキタ(-5℃~45℃)
  • ボッシュ(-10℃~45℃)

このようになっています。

※使用温度の数値引用は以下の通り

まとめ

レーザー墨出し器は作業現場に合わせて、慎重に選びましょう。いざ現場に持っていって、役に立ちませんでしたという結果になるのを防ぐためです。

担当する現場の作業条件を確認しながら、レーザー墨出し器のモデルを選ぶと、余計なお金と労力をかけずに、作業を進めることができるはずです。

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