『電気やすりって知ってますか?これを使用することで刃物や細かい物の研削作業がとても効率よくできるらしいんだけど、なかなか触れる機会が無くて…具体的な特徴とか注意点が知りたいな。』
今回の記事を読むとこんなことが分かります。
- 電気やすりとは?基本的な基礎知識や特徴について
- 電気やすりを取り扱う上での注意点とは?
やすりと聞いて最初に思い浮かべるのは、爪の形を整える金属製の物や、木目のバリを取る紙製の物が一般的だと思います。
今回は電気やすりという電動工具についての基礎知識と、取扱上の注意点などを詳しく解説していきます。
そもそも電気(電動)やすりって何ですか?
残念ながら今回ご紹介するモノは電動工具なので美容には使用できません。
しかし、この工具を使用することで研磨作業がとても効率的に行えるようになり、金属加工のシーンには欠かせない電動工具であります。
金属刃や細かい箇所の研磨が得意なベルトサンダー
電気ヤスリとは、主に刃を研いだり金属バリを取る研削作業に特化した電動工具です。
この電気やすり、一般的にはベルトサンダーと表記されており大手メーカーではリョービ(RYOBI) が『電気やすり BY-1030 624900A』という電動工具を販売しております。
ベルトサンダーの中でも、エンドレスベルトと呼ばれる帯状のヤスリ部分が細くて取り回しやすいものを細型ベルトサンダー、マイクロベルトサンダーなどと呼んで区別しています。
もちろん金属だけでなく木工作業にも対応できるので。昨今のブームであるDIYにも柔軟に対応でき使い勝手の良い工具です。
電気やすりの特徴を解説!
ここでは電気やすりの主な特徴をご紹介していきます。どんな工具なのかを理解する事で、難しい加工も簡単にこなせるようになります。
特徴① 状況に応じた幅広い研削作業が得意
電気ヤスリは構造上、先端が先細りした形状をしているので通常のサンダーでは研磨することの出来ない細やかな箇所の研磨に適しています。
ここでは電気やすりが得意な作業を下記にまとめました。
作業工程 | 作業内容 |
---|---|
鉄パイプの内側、外側のバリ取り | 切断した鉄パイプの断面、内側、外側に発生したバリを綺麗に整えることが出来る。 通常の研磨機ではパイプの内側にできたバリを取るのは苦労するが、電気やすりの細口ヘッドで簡単に除去出来る。 |
農耕具の刃研ぎ(仕上げ、荒砥ぎ) | 主に鎌の荒研ぎや芝刈りハサミの仕上げ研ぎなどに使用できる。 一般的なサンダーやグラインダーでも刃研ぎ自体は可能だが、電気やすりなら片手で簡単に操作できるので手軽に使うことが出来る。 |
溶接のビード削り | 溶接ビードとは、アーク溶接の作業をしている際に金属がみみず腫れのように盛り上がった箇所の総称。 ビードを除去する方法は圧延、潰し、切削の3種類あるが、電気やすりなどを使用して切削するのが低コストかつ仕上がりも綺麗になる。 |
樹脂やゴム等のバリ取り | バリ取りと聞くと金属もしくは木材に対する工程が一般的だが、切断する事によってプラスチックなどの樹脂にもバリが発生する。 電気やすりは作業や材料に合わせて本体の回転速度を調整できるので、材料の削りすぎを防ぎながら細やかな作業が出来る。 |
金属の塗装はがし | 塗装はがしをいかに丁寧に出来るかで、その後の仕上がりが大きく変わるが中々に大変な作業である。 通常サイズのベルトサンダーでは研磨することが出来ない細かな箇所、わざわざ工具を用意して作業するほどでもないちょっとした研削には電気やすりが最適である。 |
ヘッジトリマー刃の研ぎ出し | ヘッジトリマーとは、2枚のブレードを鋏のように高速で擦り合わせ生垣や樹木の剪定をする電動刈込み機である。 ヘッジトリマーの刃はノコギリのような形状をしており、目の一つ一つを研ぐのは大変な作業だが、電気やすりで刃の隅々まで研ぎ上げることが出来る。 |
バリカン刃の研ぎ | ここで言うバリカンとは、美容や理容の物とは異なり主に芝生に刈り込みに使用するものを指す。こちらもヘッジトリマー同様、複雑な構造のため手作業で刃を研ぐのは苦労を要するが、電気やすりを用いることで簡単に研ぎ上げることが出来る。 |
このように、電気やすりは一般的な研削工具では対応できないような細かい箇所のバリ取りや塗装はがしに最適な電動工具であります。
特徴② 金属や木材など、幅広い材質に対応可能
電気やすりは金属加工だけでなく木材のバリ取りや仕上げ加工、樹脂やプラスチックなど幅広い材質への加工に対応しております。
具体的な作業例としては、
- 手すりや自転車などのサビ落とし
- 椅子やテーブルなどの木工工作の切削
- ポリタンク等の樹脂カット時に出来たバリ取り
- ジャバラホースなどプラスチックのバリ取り
このように通常のベルトサンダーが幅広面を得意とするならば、電気やすりは狭い箇所や凹んでいる部分、細かい作業に向いていると言えます。
特徴③ ダストノズルで集塵機と接続できる
ベルトサンダーや電気やすりを使用した研削作業では、大量の削りカスや粉塵が発生し、作業者の視界を妨げたり作業後の掃除の手間が増えたりと厄介です。
しかし、機種によっては別売りのノズルを装着することで集塵機と接続しホコリや削りカスの飛散を防ぐことが出来ます。(マキタ(makita)の『ベルトサンダ 9mm 9032』など)
集塵機はベルトサンダーと同じメーカーで揃えることで互換性が生まれ、効率向上やコストダウンに繋がることを覚えておきましょう。
特徴④ ヘッド部の角度を調整して快適に作業できる
電気やすりは先端のエンドレスベルト部の角度を55°の範囲内で変更することが出来ます。
つまり、自分の作業しやすい姿勢を保ちながら研削することができたり、アクセスしづらい隙間や材料の裏側の研磨も簡単に行えます。
具体例を挙げると『手すりの裏側』や『テーブルの裏側』などです。
どちらも作業者が低姿勢の状態で不適切な持ち方をする、または不安定な状態で作業をすることになり、結果的に事故や怪我のリスクを上げてしまいます。
作業者は姿勢を変えなくて良いので身体的にも楽になり、作業効率も大幅に上がることが期待できます。
使用上の注意点って?
ここからは電気やすりを使用する上での注意点を解説していきたいと思います。
その1 :保護メガネや手袋を装着して使用する
作業中は常に保護メガネの着用を徹底することで、不規則に飛んでくる削りカスや火花、欠損した材料片などから目を守ることが出来ます。
また、研削する材料によって保護具が変わることがありますので必要に応じて防塵マスクや滑り止め防止付き安全靴、ヘルメットや耳栓があると事故や怪我のリスクを大幅に削減することが出来ます。
この質問に関しては賛否両論あり、明確な答えを記述しづらいのですが、判断に困った場合は用途や使い手によって使ったり使わなかったりがひとつの目安になると思います。
・メインの用途が簡単なDIYでほんの少しだけ使用する
・作業者はDIY初心者。
このような条件だと、電気やすり使用時は材料を持つ手に革手袋を装着すると安全かと思います。
※軍手は繊維質が電動工具に絡まり危険なので使用しないこと!
その2:キチンとした服装で作業する
電動工具のほとんどがモーターによる回転を原動力としているため、回転部に衣服や頭髪、装飾品などが巻き込まれ毎年多くの事故が発生しております。
そのため服装に関しては、だぶだぶするような物ではなく適正サイズのものを着用し、髪が長い場合はしっかりと結んでまとめたり帽子をかぶるなどの措置を講じましょう。
ネックレスなどの装飾品も巻き込まれる危険があるので外す事と、なるべく回転部に衣服や髪などを近づけないことが何より重要です。
その3:できる限り集塵、防塵環境を整える
ベルトサンダー類を使用すると、想像以上に粉塵が飛散するので慣れないうちはパニックに陥ったり、不用意に粉塵を吸い込んでしまい咳き込んでしまうことがあります。
この粉塵は怖いもので、人間が吸入することで健康被害を被ったケースがたくさんあり、あらかじめしっかりと対策を講じておかないと取り返しのつかない疾病を患うリスクがあります。
もし集塵機を用意できるのであれば、電気やすり本体と接続することで飛散する粉塵の8〜9割を吸い取り集めてくれますし、併せて防塵マスクを装着することで安心して作業をすることが可能です。
まとめ
今回は電気やすりの特徴や基本的な情報、取扱いの注意点を詳しく解説しました。
通常の研磨工具では届かないような隙間や狭い場所でも、小型化したエンドレスベルトのヘッド部を差し込みバリ取りなどが出来ます。
材料の表面や広範囲の研磨は通常のベルトサンダーが適していますが、パイプの内側だったり、細かく複雑な形状のノコギリ刃を研ぎ上げたい場合は電気やすりが最も適しております。
もしも農耕具やバリカン、ヘッジトリマーなどを頻繁に使用される方は数回の研磨で本体代の元が取れると言われているので、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。