空気の圧力を利用したエアツールの中に、釘を打ち込む工具「コイルネイラ」があります。
この記事ではコイルネイラの特徴や使用時の注意点、メリット、デメリットを解説します。
コイルネイラとは
コイルネイラは、別名でロール釘打ち機、釘打ち機と呼ぶこともあります。空気圧が異なる高圧モデルと常圧モデルの2種類のタイプがあります。
もし、エアコンプレッサーをすでに持っている場合は、空気圧に対応したモデルを選んでください。
コイルネイラの選び方
エアコンプレッサーの空気の圧力以外にもう1つ、コイルネイラを選ぶ際の基準があります。
それはモデルによって、装填できる釘の長さと太さが異なることです。
作業で使用する釘の長さと太さを把握して、装填できるコイルネイラを選びましょう。
高圧コイルネイラ
高圧コイルネイラは常圧コイルネイラに比べて、高い圧力で釘を打ち込めるため、硬い材料にも釘が通ります。
使用空気圧力は1.0~2.3MPa(10~23kgf/cm2)ぐらいが目安とされていますが、モデルによって異なります。
他にもモデルによっては、打ち込む圧力を強・中・弱の3段階で設定。
打ち込む部材に合わせて、釘の打ち込み具合を調整できる機構やおがくずなど掃除する際に使えるエアダスタ機構を搭載したものがあります。
常圧コイルネイラ
常圧コイルネイラは本体価格が高圧モデルに比べて安い傾向があります。もし打ち込みたい釘に太いものや長いものがない場合は、常圧コイルネイラでも作業はこなせるでしょう。
ただし、常圧コイルネイラの反動は、高圧モデルに比べて大きいといわれています。
使用空気圧力は0.4~0.8MPa(約4~8kgf/cm²)ほど、コンプレッサーを持っているのであれば、空気の圧力を確認して、高圧か常圧どちらのコイルネイラが使えるか判断しましょう。
打ち込む釘について
コイルネイラはモデルごとに打てる釘の「長さ」と「種類」が違います。使いたい作業に適した釘を打ち出せるコイルネイラを選びましょう。
他にも装填する釘の連結方法も確認しましょう。釘をワイヤーでつなげる「ワイヤー連結(針金連結)」とプラスチックのシートで釘を連結する「シート連結(プラシート連結)」の2種類がロール釘にはあります。
両方とも装填できるコイルネイラもありますが、モデルによっては、1種類しか装填できないものもあります。ここでは装填する代表的な釘について5つ紹介します。
N釘
一般的に使用される鉄製の釘。色や長さにバリエーションがあり、木造住宅で使う釘です。JISで規格化されており、正式な名称は「鉄丸釘」と言います。
石膏ボード釘
名前の通り石膏ボードに打ち込む釘です。釘の径2.3、長さ40㎜~50㎜程度の釘を指します。
鋼板用ロール釘
鉄板や木材に打ち込めるらせん模様の付いたスチール製の釘です。釘の太さは2.5㎜、長さは32㎜~50㎜ほどです。
コンクリート釘
トンネル工事や建物の土台になるコンクリートに使用できる釘です。スクリュー釘や細長いフロア釘、釘の頭が丸く膨らんでいるマルアタマなど形状が違います。
シージングボード釘
住宅の防音、調湿、断熱性を高める際に使うシージングボードに打ち込む釘。
釘を打ち込んだ際に釘の頭がめり込んでしまわないように、頭の部分がほかの釘より大きく広がっているのが特徴です。
どんな作業で使う
釘を適したものに変えれば、鋼板、合板、コンクリート、石膏ボード、シージングボードなど多種類の板に打ち込みが可能です。
ただし、必ず適した釘をセットして下さい。適さない釘をセットして、打ち込みをすると故障の原因や大ケガする原因になります。
販売している工具メーカー
コイルネイラを販売しているメーカーは主に3社。エアツールの工具を多く販売しているマックス。
充電式バッテリーの電動工具のシェアでは国内トップメーカーのマキタ。ビス打ちの工具で人気があるといわれるハイコーキです。
すでにエアツールを持っている場合は、互換性や相性を考えて、メーカーを選ぶとよいでしょう。
使い方
コイルネイラは、釘を空気の圧力で打ち出す危険な工具ですが、板に先端を押し付けないと釘が発射できない機構を搭載しています。
そのため、打ち込み作業をする時はコイルネイラの先端を押し付けてから、トリガーを引いて打ち込みを行ってください。
使用の際に注意点
まず、コイルネイラとエアコンプレッサーをホースで繋いだ段階で、異音やエア漏れなどの不調が発生しているなら、絶対に使用を避けてください。
次に、作業者は撃ち損なった釘や破片が目に飛んでくる可能性があるため、保護メガネの着用と発射音から鼓膜を守るため、耳船などの防音保護具の着用を推奨されます。
作業者が向かい合わせでコイルネイラを使うような釘打ちはしないようにしましょう。
例えば、壁板1枚隔てて、作業者が向かい合わせになって、お互いにコイルネイラで釘打ちすると、壁を貫通してしまった釘が作業者に刺さる危険性があるからです。
最後に、揮発性可燃物のそばで絶対に作業をしないで下さい。火事の原因になるからです。
例えばアルコール、シンナー、ガソリン、石油溶剤などがある場所でコイルネイラを使うと、釘の打ち込みの際に発生した火花が引火の原因になりかねません。
コイルネイラのメリットデメリットを解説
この章ではコイルネイラのメリットとデメリットを解説します。
メリット
メリットは、釘打ちの作業が短時間に効率的にできる。もし、ハンマーで釘の打ち込みをしようと思ったら、長い時間と連続してミスなく打ち込むための技術が必要です。
しかし、コイルネイラであれば合理的に、少人数で打ち込み作業ができるでしょう。
デメリット
エアツール共通ですが、エアコンプレッサーが作業現場で必要なこと。そして、コイルネイラを使用するには、現場を作業できる状態にしなくてはいけないことです。
釘を発射する危険な工具であるため、近くで他の人が別の作業をすると、思わぬケガをする可能性があります。
そのため、可能なら周りに人がいない、可燃物がない、粉じんが舞わないなどの条件を整えてやる手間などがデメリットといえます。
まとめ
空気の圧力を利用した釘を打ち込むコイルネイラは多種類の釘を打ち込める便利な工具です。
ただし、モデルによって空気の圧力、装填できる釘が違うため、目的にあったコイルネイラを選んでください。
そして、作業の際は、打ち込んだ釘でケガや事故が起きないように安全対策を行って使いましょう。